キャンプ用テーブル(2013年8月)

キャンプ用テーブル(2013年8月)

ちょっと趣を変えて、アウトドア用折りたたみテーブルの製作

 いきなりだけど、最近キャンプにはまっている。キャンプといっても日帰りの「デイキャンプ」なんだけど、結構家族もこれが楽しいらしくて、バーベキューしたり川遊びしたりと、デイキャンプの日は一日が充実した日になる。早朝4時か5時頃出発し、河原やキャンプ場に7-8時頃には到着、帰りの渋滞にハマると悲惨なので正午過ぎには撤収という具合だ。で、バーベーキューとかしていると、自作魂に火が付いてしまい、「何か関連するものが作れそうじゃない」となってしまい、今度はアウトドア用として持ち運び可能な折り畳みテーブルを製作してみた。

基本構想

 いつものように実現したいことを最初にまとめた。

  • もちろん折り畳み式。
  • 収納時にもできるだけ各パーツがバラバラにならないようにする。紛失防止や持ち運びやすさを考慮する。
  • 折りたたんだ時に、テーブル部分の外枠内に脚部など他のパーツが納まるようにする。
  • 持ち運びするので、可能な限り軽量に。
  • ベーシック(ハイスタイル)でもロースタイルでも利用できるように2段階の高さ調整機能を持たせる。
  • 購入するよりは安価に。

 折りたたみの機構をどのような方法で実現するのか、また軽量化のための構造がなかなか難しそうだ。

詳細設計

 脚部の折り畳み機構をいくつデザインスケッチをしながら考えた。構想が固まるまではいつもメモ帳を持ち歩いている。ファミレスで家族と食事している時にノートを取り出して思いついたアイデアをメモしたり、自宅にいる時も何かひらめいたらすぐにメモを残して、イメージを具現化していく。今回の設計としては以下のようになった。

設計図

 天板を折りたたむ方向として、長さが短くなるように折りたたむか、長さはそのままに幅が狭くなるように折りたたむかの2つの案があったが、細長い形になったほうが収納時や車で運ぶときに場所を取らないだろうと安直に考えこのような設計にしている。赤い棒の部分が脚部収納時には幕板(のようなもの)と平行になって天板下部に収納することができる。テーブルとして利用するときには図のように天板の上下を貫く幕板のようになって脚部を固定するパーツとなる。うまく説明できないが、後ほどの完成後の写真を見てもらうと構造がわかりやすいと思う。
 設計図をよく見ると、赤丸の部分の寸法設定の起点が左右で同じ位置になっていない。この間違いに気づかないまま製作を進めてしまったため、これが後々悲劇を生むことになる(そんなに大した悲劇ではないのだが・・・)。

材料を調達する

 本当はタモなどの硬めの材料を利用して製作したかったのだが、見積ってみると想像以上に価格が高くなってしまった。ホームセンターに売っているSPF材やホワイトウッドを利用してコストを抑えた。また、過去の製作で残っていたラジアタパイン集成材も活用した。ちょうど、幅40mmにカットしたものが残っていたので、これをテーブルの外枠部分に適用することにした。この材料を流用するために、完成後の寸法を半ば決めたようなものだ。
 天板については、軽量化のためにできるだけ薄い板を利用した。薄くてある程度広さのある板がなかなか見つからなかったのだが、いつも行くホームセンターに厚さ9mmのノッティパイン集成材が販売されていたので、これを購入した。安く、軽くを目指したキャンプテーブルの製作費用の結果は如何に!

天板の加工、組み立て

 購入した厚さ9mmの天板(ノッティパイン集成材)は幅300mm、長さ910mmである。これをこのまま利用すると、天板の周囲をぐるりと取り囲むように取り付けるラジアタパインの自宅在庫板が僅かだが不足してしまう。そこで、ぎりぎりの寸法を追求して設計し、ホームセンターで予めそのサイズとである295mm×870mmにカットしてもらう。

ホームセンターのパネルソーでカットしてもらっている様子。ここのホームセンターのカット対応の店員さんはいつも愛想の悪い人なのだが、今回の店員さんは非常に対応の良い人だった。
天板用の材料を並べたところ。天板は今回購入、外枠は余っている自宅在庫品を流用。流用したラジアタパイン材だが、おそらく2年以上も屋内に放置していたためかかなり乾燥していた。
天板の長い方の部分に側板を取り付ける。タイトボンドをつけて側板と天板の面が合うように注意しながらクランプで圧着する。本当はダボ接合とか、トリマーで両方の材に溝を掘ってはぎ接合のようにすればよかったのだが、正直なところ今回は「どうせ外で利用するものだし・・・」と、作業をサボってしまった。
天板の長さに合わせて側板をカットする(現物調整)。そして、残りの4箇所部分に取り付ける側板を現物に位置合わせしながらカットする。脚の取り付け部分の加工が残っているため、まだこの段階では側板を接合しない。

脚部の加工

 天板に収納することになる脚部を加工する。

折り畳み式の脚部は天板の側板部分に取り付ける。ジョイントコネクターで固定するのだが、設計上、テーブルの厚さをギリギリまで薄くしているため(横から見た時に40mmになる)回転させるときに角が尖ったままだと天板に当って、脚が動かない。そこで、脚の軸に近いところは丸く加工する。まずは胴付鋸でざっくりとカットして、あとから100番のサンドペーパーで丸く削る。
次に脚を延長するための鬼目ナットを埋め込む穴を加工する。1本の材のままだとドリルで穴あけも難しいので4本束ねて更に両側を別の板で挟み込むことで、ドリルスタンドを使った加工をしやすくする。なお、結合するもう一つ側の材料にはハンガーボルトを埋め込む穴を同様の方法で加工する。

再び、天板の残りの側板を加工する

 先ほどカットした天板用側板に脚を取り付ける部分の穴を開ける。ちょっとした作業ミスが発生。

脚と天板の取り付けは合計4ヶ所となるので、1つの板あたり1ヶ所、合計4個分の穴を開ければよかったのだが、何を考えていたのか、なぜか1枚あたり2個、合計8個も穴を開けてしまった。4個の穴は余計なものになるので、マホガニーの丸棒を使って穴埋めした。
写真のような丸穴を天板の四隅に四ヶ所分、加工する。ジョイントコネクターで脚を取り付けるため、ジョイントコネクターの頭が飛び出さないように2mmほどの深さで大きめの穴を加工しておく。

天板の反りを修正

 天板の周囲を取り囲む側板の残りの部分をタイトボンドで取り付ける。実際に側板を取り付けてみると天板がかなり反っている。この反りを修正する。

短い方の側板を天板に取り付けたところ、このように天板がだいぶ反っていた。この反りをクランプを使って、修正していく。
天板が内側方向に反っているため、天板の下部(内側)に木を当てて、側板とこの当て木をクランプで挟みこむことで天板の反りを無くしていく。
クランプで天板の反りを修正した後、6mmの木ダボを埋め込む。天板の厚さは9mmなので、6mmの木ダボを埋め込むとなるとダボの余剰分の厚みは1.5mmとなる。ダボが天板表面や裏側に突き抜けないよう、かなり慎重に下穴を開けた。その後、6mmのダボを埋め込んだ。
天板の反りを修正した後。ほぼ、側板とツライチにできた。

パーツを仮配置してみる

 ここまでの工程が終わったところで、全ての部材にオスモカラーのノーマルクリアーを塗装する。学習机シリーズを製作した時と同じ塗料だ。オスモカラーの塗装後、ウエス(古いチノパンの生地)で磨き上げた後、それぞれの部材を仮配置してみる。

カット済の脚部パーツを天板内側に仮配置してみた。こんな感じで収納することになる。
脚部は天板内側に折りたたむ形で収納することになる。天板と干渉しないように脚部の固定部分はこのように丸く加工する

残りの加工

 なんとなく形が見えてきたところで、残っている部分の加工を進める。

組み立て直後はロースタイルで、脚を延長すると高さ700mmのベーシックスタイルでという使い方を実現するために、脚部を延長するためのパーツを仕上げる。延長部分の脚パーツにM6のハンガーボルトをねじ込む。脚に利用したホワイトウッドは柔らかい木材のため、M6ギリギリの穴(6mm径)だと木材が割れてしまうかもということを心配して、6.5mmで下穴を加工したが、逆に少し緩すぎたような感じだった。6mm径の下穴でもよかったかもしれない。念のため、タイトボンドをボルトに塗ってねじ込んでいる。
2つの天板を蝶番を使って連結する。天板を折りたたんだ時に蝶番分の厚さだけ隙間が生じないように、ノミを使って約1.5mmほど蝶番を埋め込むスペースを加工する。強度を確保するために今回は4箇所で連結した。天板の位置がずれないように、クランプで固定してから加工した。
蝶番に添付されいている木ネジだと短すぎてすぐに抜けてしまいそうなので、長さ28mmの木ネジを別途購入した。タイトボンドをネジに付けてからねじ込む。もちろん、ネジをねじ込む前に深さ10mm程度の下穴を開けてておく。
ジョイントコネクターを利用して天板に脚部を取り付ける。脚部の動きがスムーズになるように、ワッシャーを挟む。
天板と脚部を取り付けた後の様子。こんな感じで折りたたみ式の脚部を収納する。
天板を開いて脚を広げた時に、脚がグラグラしないようにするための幕板的な機能を果たす横棒を取り付ける。この横棒も収納時にじゃまにならないように折りたたみ式になっている。
意外に難しかったのが運搬用の取手の構成方法だった。市販のメタルの取手を取り付けてもなんとなく味気ない。また天板をたたんだ時に、天板が開かないようにするための工夫と取手の取り付けをどうやって同時に実現するかというところに悩んだ。結局写真のように天板片側部分に、木管の丸棒とロープを使って取手を取り付けて、次の写真のようにベルトで固定するというやり方に落ち着いた。
天板を閉じた時はベルトで固定する。パッチン錠で固定することも考えたが、パイン材という柔らかい木材を利用していることもあり、パッチン錠を取り付けているネジがいずれ緩んでしまうのではということも懸念されたため、ベルトという余計なパーツが増えてしまうがこの方法を採用した。

いよいよ実戦デビュー!

 お盆休み中のデイキャンプになんとか間に合わせたかったため製作を急いでしまった感はあるが、とりあえず完成できたので実際にデイキャンプで利用してみた。

テーブルとして利用するときは、固定していたベルトを外し、天板を開く。このとき、脚を延長するためのパーツ(4個セット)を外に出しておく。
次に、脚を広げる。広げるというか、立ち上げると言うか、写真のようにテーブルのような感じにする。
脚部を立ち上げたらこれらを固定するための横棒をぐるっと回転させて反対側の脚部まで移動させ、ボルトで固定する。ボルトは目的の長さのノブが入手出来なかったため、長ナットを使って「ノブ」の代用とした。もっと調査をきちんとするところだったと反省。この横棒を回転させるときに設計ミスが響いて、ほんのちょっとだけコツが必要となった。
テーブルを組み立てた後、下からのぞいた様子。横棒でぐらつきを抑えるはずだったのだが、ちょっとぐらついてしまう。テーブルとして利用する上では問題無さそうだが、剛性が不足気味のようだ。無理やり脚を広げるような感じでテーブルを設置するとグラつきが幾分か和らいだ。
テーブルの設置様子。ロープで作った取っ手も人工的な感じがしなくてなんとなく味があるというか、いい感じに仕上がっているじゃない!。
キャノピーを含めた全景。うーん、それなりにいい感じかも。ロースタイルのテーブルだとスペースも広く感じるから不思議。

製作費用

 最後に制作費用のまとめ。ネジやダボ、鬼目ナットなどの自宅在庫品や、ホームセンターでのカット工賃は含んでいない。さて、いくらで製作出来たのか。あるいは購入したほうが安かったのか。

キャンプテーブルの製作費用
材料 用途 数量 価格(合計) 購入方法 コメント
ノッティパイン 天板 2 2,560 島忠ホームズ葛西店 1枚あたり300*910*9のサイズだが、295*870にカットしてもらった
ホワイトウッド面取材 脚部 8 1,584 島忠ホームズ葛西店 長さ1920mmのほうがメートル単価は安いのだが、まっすぐのものが無いため、長さ910mmを購入
ハンガーボルト(M6) 脚を延長するときの連結金具 4 200 島忠ホームズ葛西店 2つ入りで100円
ワッシャー 脚部を固定するときのスペーサー代わり 8 128 島忠ホームズ葛西店 自宅在庫がなかったので購入
ナット(25mm)、ボルト(50mm) 横棒を固定するためのノブ代わり 2 242 ドイト南砂店 ナット2個、ボルト2個の合計
ナイロンベルト テーブル収納時の固定用ベルト 1 300 ドイト南砂店 10cmあたり25円。ちょっと長めに120cm購入
バックル 上記、ベルト固定用のプラスチック部品 1 300 ドイト南砂店 1セット分の価格
・ア番(ブラウン) 天板連結用 2 356 ドイト南砂店 1袋2個入り。それを2つ購入
ブロンズ木ネジ 蝶番固定用 2 200 ドイト南砂店 100円で8本入りを2個購入
木管(ブナ材) 取手 1 228 ドイト南砂店
ロープ 取手 1 150 ドイト南砂店 10cmあたり15円。100cm購入
ラジアタパイン材 天板の周囲部分 長さ1920mm*2本、1500mm*1本。余っていた木材を流用
ジョイントコネクター、鬼目ナット 天板と脚の固定用 自宅在庫品
合計 6,248

 これはかなり厳しい。コールマンのキャンプ用テーブルで天板サイズが900*600mmのナチュラルモザイク(TM)リビングテーブル /90でもおそらく5000円前後で購入できてしまう。また、ノーブランドのテーブルだったりすると、ちょっとサイズは小さいが2,980円とかで実際にホームセンターで販売されていた。自宅在庫の木材も流用して可能な限りコストを抑える努力を行ったのだが、市販品を凌駕するような特徴が今回の作品には見当たらないため相当厳しい。単に「自作しました」という自己満足だけでになってしまっており、素直にコールマンのテーブルを購入したほうが良かったかもしれない。ちなみに重量はと言うと実際に測定できていないのだが、そんなに軽いわけでもなく、また重くもなくという感じか。もし、どこかで測定する機会があれば結果を追って更新したいと思う。

 と、反省ばかりなのだが、家族からはそれなりに好評だったようで、当テーブルのデビュー戦は無事に終了。実は第2弾の構想も進めており、今回の結果に懲りずにまたまたキャンプ用テーブルを作ろうとしているのであった。でも、写真を見てもらえばわかるように、「手作り」という感じが現れてて雰囲気あるでしょ!!と言い聞かせている。

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