背の高い本棚(2014年9月)

背の高い本棚(2014年9月)

いい感じの本棚ができました!

長男の学習机シリーズを製作中であるが、第三弾として学習図鑑やその他書籍、ランドセルなどを一括して収納できる少し背の高い本棚を製作する。長女の時と同じものを製作しても楽しくないので、全く異なるデザインで製作する。

高さのある本棚になるため、なるべく圧迫感が出ないよう、またコストも抑えつつ強度も確保する必要があるということで、だいたい以下のような要件で設計を行った。

  • 両サイドは一枚板ではなく、いくつかの板を組み合わせて軽い感じで仕上げる
  • 棚板の一部は簡単に位置を変更できるようにする
  • 本棚の下のほうには図鑑などの重たい書籍を収納、上のほうには比較的小さい書籍を収納して使い分ける
  • 子供二人分のランドセルを置けるような棚板も設置する。またその棚板も成長に合わせて高さ調節ができるようにする
  • 将来、子供が独り立ちして引っ越ししても利用できるように、可搬性も考慮して組み立て式とする

長女はすでに本棚を持っているので、これは長男が将来にわたって使う予定にするのだが、小学生のうちは二人分のランドセルラックとしても利用できるようにサイズを考慮した。

設計

具体的に何を収納するのかを想定しながら、収納物のサイズに合わせて設計を行う。そうすることで無駄な空間が発生したり、逆に物が物理的に入らないということがなるべく発生しないように、効率的な使い方ができそうだ。また、設計ミスが発生しないように、ありとあらゆるところに寸法やサイズを記入しておく。

詳細設計図。図中にあるサイズ入りの四角形は教科書やその他の書籍、CD/DVDケース等の一般的なサイズを表している。これらの高さを考慮して、棚板の位置間隔を決めた。

材料の調達

コストを抑えるためにタモの集成材で製作する。今回もマルトクショップ様から購入した。このお店の良いところは、カット販売を行ってくれるところで、1mm単位で長さや幅をオーダーできることだ。ただ、mm単位で指定しても、こちらの希望どおりにドンピシャとはならずに、1mm、多い時には2mm程度のカットの誤差が発生してしまうことがある。初めて利用した時には本当に正確で感動したことを覚えているが、最近はズレが目立つなと感じている。なので、これらを許容できるような設計もコツが必要となる。誤差が発生するのであれば、同じ大きさのパーツは同じように誤差が発生するようにサイズ感を考慮して設計すると、完成後に案外うまくまとまってくれる。今回は、吸収できない大きな誤差が1か所あり、少し手を加えている。(後述)

組み立て時の工夫

先ほどの設計図では側板が少し変わった構造をしていた。一枚板ではなく、3つの板が小さい板で接合されている形になっている。これをどうやって製作するかというと、「木ネジで固定していますよ」というのが正面からはわからないようにするために、背面側から順に接合した。文章だとわかりづらいので、接合順序を下図に別途まとめた。

図のように(1)から(4)の順に、背面側から木ネジで接合していく。もちろん、木工用ボンドも使っている。正面からはネジで固定しているのが分からないため、なんとなく美しく見える。

今回、自分でカットしたのは長い側板を接合する長さ100mmの板のみであり、後はすべてプレカット状態で購入しているため、カット作業は大幅に手抜きしている。

自分でカットしたのは、この写真の板8枚と、同じ長さで幅50mmの板4枚のみ。もちろん、トリマーでの仕上げ加工や、長さに誤差が生じている部分の修正カットは自分で行う。

左右の側板の組み立て

フロント側の板から順に組み立てる。左右同じものを製作することになるため、必ず左右セットで同時に組み立てを進める。これにより少々誤差が生じても左右同じ誤差になるため、左右の高さが合わずに棚板が斜めになったりすることを回避できる。

正面側の接合から開始。この時点では木ネジは使わずに、木工用ボンドでいったん固定する。
接合部分の段差が生じないように、あて木を使って面一にしてクランプで固定する。
長い板どうしを接合する100mmの板には、あらかじめ木ネジを隠すための穴を加工してある。木ネジを打ち込むときに板が割れないように、下穴をあける。
次にフロントから2列目になる板を接合する。あらかじめこのように木ネジで接合するための下穴を加工しておく。木ネジも深い位置に固定しなければいけないため、写真のような長いドリルを利用して下穴をあける。これが曲がりやすく、外に突き抜けないようにかなり神経を使った。
再び、2つ左右セットでクランプで固定する。
同じように次の板を接合(もちろん、木工用ボンドが乾くまで、あて木+クランプでずれが生じないように固定している)。
木ネジで固定したあとに、表面を丸棒で整える。
3列目まで接合。だんだんと形が見えてくる。
一番後ろ側(背面)を木ネジで固定する。
最後に丸棒で表面を成型する。背面が見えた場合にアクセントになるように、少し色が異なる木材(マホガニー)の丸棒を利用した。
同じ形の側板が完成。まだダボ穴などは加工していない状態。

棚板の加工(1)

大きな棚板でかつランドセルのような重量物をのせる棚板は、ダボで支えるのは少し無理がありそうなため、ジョイントコネクタで固定する設計としている。ジョイントコネクタと固定するための鬼目ナットを埋め込む下穴を加工する。

棚板の両サイドを同じ厚さのあて木で挟み込むことで、ドリルスタンドを安定して利用できるように工夫する。

プレカット木材の誤差をカバーする

棚板1枚の幅、すなわち側板の内側サイズは600mmで設計し、棚板のプレカットも600mmでオーダーしている。すべての材料を同じように600mmとか601mmとかでカットしてくれれば全く問題ないのだが、一番下に位置する棚板とその直下の幕板の長さが2、3mm程度異なっており、このまま利用すると、側板と幕板の間に隙間が生じてしまう。そこで幕板を短めにカットし、幕板の両サイドに別の板を取り付けて長さ600mmになるように整形することで棚板とのずれを解消した。結果として、左右の茶色の板がデザイン上のアクセントとなってくれている。

上が棚板、下が幕板。幕板が棚板より2,3mm短い状態でカットされていたため、幕板をさらに短くカットし、左右に茶色の板を接合して全長を600mmに整形した。結果、棚板との長さがぴったり一致するとともに、少し面白いデザインにもできた。ただ、これをやりすぎるとデザイン上のバランスが取れなくなるため注意が必要。
一番下の棚板の底面。幕板で底上げしている。
上面側。ここに図鑑など重めの書籍等が置かれる。

棚板の加工(2)

手軽に設置場所を変更できる棚板はダボで支えるため、棚板がずれないようにダボが少し隠れるような加工を施す。

ルーターテーブルにダボが隠れるサイズのストレートビットを固定して、深く掘りすぎないようにあて木で位置決めしてから加工する。うーん、うまく説明できないが次の写真はわかりやすいかも。
加工後はこんな感じに。フロント側は45度の面取りビットで面取りしている。
加工完了後の棚板たち。板の厚みの中心に穴があるものは鬼目ナットで固定する棚板で、棚板の端に穴が加工されているものはダボで固定する棚板となる。

塗装

オスモカラーで塗装する。ノーマルクリアーを利用。

いつものオスモ/ノーマルクリアー
いつも塗装の時は、板だらけになって部屋の中が大変なことに、、、
塗装後の写真だが、工程としては塗装の前に、ニッケルダボを埋め込む下穴やジョイントコネクタを取り付ける穴など、すべての加工を済ませておく。

ニッケルダボを埋め込む

塗装後にニッケルダボを金づちで埋め込むのだが、これを埋め込むときに「カーン、カーン」と少々甲高い音が発生する。しかも、数量が100近くあるため、ちょっと近所迷惑かなと考え、音を気にしなくてもよい場所へ材料をもっていってそこで作業する。その作業場が高速道路下のちょっとした広場だ。

実はここは住宅もなくて音を出しても全く迷惑になりそうになく、週末ともなるとドラムセットを持ち込んで練習している人がいたり、和太鼓をたたている人がいたり、トランペットを吹いている人がいたりと、楽器練習等の穴場!?にもなっている。

ビニールシートを広げて
埋め込む板の下には、板が傷つかないようにあて木を置き(写真の右側部分)
このようにニッケルダボをひたすら叩いて埋め込む
ニッケルダボはムラコシ精工の通販を利用。ジョイントコネクタや鬼目ナットなど面白い部材をいろいろ販売している会社さんだ
こちらはニッケルダボではないが、鬼目ナットを埋め込んだ後。

いよいよ最終組み立て、完成!

加工、塗装などがすべて終わったため、最後の組み立て工程に移る。下側の棚板から順にジョイントコネクタで固定する。

側板と棚板をジョイントコネクタで接合。最上段、最下段は棚板位置が固定となるが、それ以外は位置を変更できるようになっている。
その他の棚板を設置して正面からのショット。先ほどの写真から追加となっている棚板はニッケルダボで固定するため、いつでも手軽に位置を変更できる。すでにランドセルやぬいぐるみが置いてある。
これまでに制作した学習机の間に設置するとこんな感じで、左右から二人で共用できる。ただし、この本棚は長男のものなのだが、、、。

実は設計段階ではランドセルを設置する棚板の直下に引き出しが取り付けられることになっていた。引き出し取り付け用の加工まで終了しているため、引き出しさえ製作すれば取り付けOKなのだが、「このままでいいよ~」という子供たちの声と、なぜかこの段階で満足してしまったたこともあり、この状態でいちおう完成となった。

いくらかかったのか。費用のまとめ

今回の製作費用をまとめた。木ネジや丸棒、ジョイントコネクター、塗料などの消耗品的なものは含めていない。下記は、木材、ニッケルダボの価格のみを記載した。

材料用途数量価格(合計)購入方法コメント
タモ集成材ほぼタモ集成材を利用。一部、発注可能サイズの制限により無垢材を利用一式25,660マルトクショップ送料込み(25,000円以上は無料)
棚ダボねじタイプメン棚板用1001,400ムラコシオンラインショップ単価14円。100個すべて利用したわけではないが
棚ダボねじタイプB棚板用20640ムラコシオンラインショップ単価32円。20個すべて利用ではない
合計約28,000

約30,000円弱ということで、集成材を利用したもののある程度高級感のある本棚に仕上がったのではないかと思う。

長男の学習机シリーズの残りは、袖机のみ。早く作ってあげないと。

その後の様子

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