テクニクスアンプの修理(2025年3月)

テクニクスアンプの修理(2025年3月)

電解コンデンサとリレーが続けて故障

現在のデスクトップオーディオとして、テクニクスのセパレートアンプ SU-C01/SE-C01 を利用している。デジタルレベルメーターを搭載しており(学生時代はレベルメーターやスペアナにあこがれたものです)、デスク上に設置できるコンパクトなサイズ(特に奥行き)、何よりも40年以上前の製品とは思えない秀逸なデザインにほれぼれして、1年ちょっと前にヤフオクで手に入れたものだ。セットで約17,000円だった。現在でもヤフオクでは、同型機が出回っては落札されていることから、この製品に対する一定程度の人気があると思われる。おそらく、私と同年代のテクニクスファンがいるんだと思う。中学、高校とテクニクスブランドの存在は知っていたのだが、とても高くて購入できるような製品ではなかった。各メーカーのカタログを眺めてはいつか手に入れることを夢見ていた。それがいま、中古とはなるがリーズナブルに手に入れることができるようになってきている。50代のおっさん達にとって、過去の名機を安く手に入れるのが趣味であったり喜びであったりする(のではと勝手に思っている)。

私が購入したものはパワーアンプ部の天板メッシュ部分に多少のさびや、プリ・パワーともに外装にキズがあるのだが、黄ばみ・汚れなどは無くて比較的きれいな商品だったかなと思っている。クリーニングするとフロントパネルはきれいになり、そのデザイン性からも古さを全く感じることがない。1979年の発売なので、80年代、90年代へと続く日本のオーディオメーカーの全盛時代の製品でもあり、アルミダイキャスト一体成型でのエンクロージャー構成やアルミ削り出しのノブなど高級感満載だ。予備としてもう1セット確保しておきたいぐらい、今は惚れ込んでいる。

左がパワーアンプ、右がプリアンプ。パワーアンプにはデジタルレベルメーターが搭載されているが、ある程度の音量以上にならないと、ピコピコ動いてくれない。真ん中は両機を接続するためのワンタッチケーブルなのだが、パワーアンプを上段側に設置しないと利用できない端子構成となっているため、別のRCAケーブルを利用している。
1971年発売。定価はプリアンプが50,000円、パワーアンプが65,000円。当時の大卒初任給が約5万~6万円だったようで、現在の価格に換算すると約50万円ぐらいする高級機の位置づけとなる。
レベルメーターの左右での振れの大きさが違っていたため、サービスマニュアルを確認すると上記の記述があった。サービスマニュアルは海外のサイトからダウンロードした。

当然、40年前の製品なのでデジタルインタフェースは実装しておらず、PCとのUSB接続はできない。もちろん、アナログでの接続はできる。今回は、アマゾンで販売されているUSB/RCA変換ケーブルを使って、2台のPCをそれぞれAUXとTUNER入力に接続して利用している。この変換ケーブルのUSBコネクタ部にDACが内蔵されているようなのだが、安かろう悪かろうではなく、それなりにいい音を鳴らしてくれているので個人的には十分満足している。

このような変換ケーブルを利用。アマゾンのレビューでは良いものから悪いものまでさまざまだが、この金額でこの品質はなかなか満足がいくものだと思う。DAC専用機が不要となる面白いケーブルだ。

突然の無音化・・・電解コンデンサが膨れ上がっていた

購入直後から、セレクタ切り替え時に片チャンネルから音が出ないとかたまに不具合は発生はしていたのだが(再度切り替えることで問題なく音は出るようになる。内部スイッチが汚れていると推測)、利用上ストレスとなるようなことはなかった。だが、今年の2月に、突然音が出なくなってしまった。電源オン、レベルメーターの点灯までは問題ない。急遽、今まで使っていたオンキョーのCR-D1を引っ張り出してきて、プリアンプの出力をCR-D1のLINE入力へ接続し出力を確認すると問題ない。パワーアンプが完全に逝ってしまったようだ。

とりあえずパワーアンプの底板を外し内部を確認すると(本機は天板ではなく底板から分解する)、電解コンデンサが膨れ上がって外装?もはがれてしまっている。非常に危険な状態、ギリギリで動作していたようだ。このコンデンサ不良が原因だと思われるため、代替品を急ぎ通販で購入。秋葉原へ行って購入してもよかったのだが、往復の交通費などの手間を考えると送料を含めても通販のほうがリーズナブルだった。すぐに修理できないのは残念だが、注文して翌週末にゆっくり修理することとした。

白枠に実装されている電解コンデンサが原因
電解コンデンサを取り外す。パンパンに膨れ上がっており、外装も破れてしまっている。1つは端子がぽろっと外れるぐらい傷んでいた。
その他のコンデンサは問題なさそうだった
通販で探したところ共立エレショップで国産のルビコンコンデンサが販売されていたためこれを購入。高さがあるコンデンサだとアンプに収まらないため、事前にサイズを入念に確認。
取り外したコンデンサと比較。大きめの静電容量に変更してもよかったのかもしれないが、160v/470μFでメーカーのエンジニアが設計しているはずなので、同じスペックのコンデンサに交換している。
白枠に、極性を間違えないように電解コンデンサを取り付け
無事、取り付けが完了
シャーシへの組み込み前にテスト。レベルメーターも動く。問題なさそう。

復活したと思っていたのだが、またしても無音化・・・リレーの故障

電解コンデンサ交換後、快適に動作していたのだが1か月も経たないぐらいで今度はパワーアンプが全く動作しなくなってしまった。電源インディケータのLEDは点灯しているため、一部の回路は動作していると思われるのだが、通常は電源スイッチをオンにした後、約8秒後ぐらいにパチンと聞こえるリレーの接点切り替えの音が聞こえない。何度か電源オフ/オンを繰り返すと、たまにリレーが動作するのだがすぐにオフになって、だんまり状態になってしまう。今度は、リレーが逝ってしまったようだ。

リレーの代替品を探すのにも一苦労だった。何しろ40数年前の製品のため同一の型番の部品が見つけられない。同等品を見つけたと思っても海外からの発送で送料が高く、これだったら別の本体の中古品を買ったほうがいいかもと思えるほどコストがかかってしまう。最終的には、基板に直接実装するボードタイプではなくプラグインタイプを購入し、端子をニッパーでカットするという荒業で復旧させた。

このリレーの動作が安定しない。「MATSUSHITA」の記載があるように、相当前の部品。
基板から取り外し、リレーの接点をエタノールで軽く拭いたりしたのだが、動作状況は改善できなかった。
ネットで同型の部品を検索したところ、NC2D-P-DC24Vという部品を発見。微妙に製品名が一致しないしAW49014などの記載は見られないが、同じ仕様の製品とみてよさそうだ。これを調達できれば何とかなりそう。
端子やサイズ、電圧の仕様も一致している。これを手に入れねば!
ところが予想以上に購入が難しいことがわかる。私が調べた限りでは、DigiKeyから購入できそうなことが分かったのだが、海外からの発送のため送料も高く、デリバリにも時間がかかりそうなため、購入を躊躇してしまう。
NCリレーにはボードタイプとプラグインタイプがあるようで、プラグインタイプがモノタロウで販売されていることを偶然発見。
参考までに仕様はこんな感じ。端子の形状以外は同じ。これだと端子が大きすぎて基板に実装できない。惜しい。
一方で、このようなソケット変換パーツがあることが分かり、ヤフオクで200円程度で販売されているではないか。プラグインタイプで代替できるかもと思い、急ぎ購入。
モノタロウでプラグインタイプを購入。クーポン適用で1,000円以下で購入できた。端子に互換性はないため、このままだと基板に実装できない。ソケット変換パーツと合わせて1,000円程度で購入できた。
左がオリジナルのリレー。真ん中がモノタロウで購入した「-P-」無し型番となるプラグインタイプのNC2D-DC24V。左がヤフオクで購入した変換ソケット。
変換ソケットと組み合わせるとこんな感じになるのだが、アンプの高さを数mm超えてしまい、格納できない。もしかしたら行けるかもと思っていたのだが・・・。
実装できたとしてもアンプ内部へ格納できないのを承知で、動作確認。問題なく動作してくれた。
ソケットからリード線を引っ張って、交換したリレーを別の場所に押し込めるという方法も考えたが、あまりスマートではない。そこで思い切って端子をニッパーでカットして、基板に実装できるように改造した。ピン1本たりとも折ってはならない失敗が許さない慎重な加工が要求されたのだが、無事にボードタイプへの改造ができた。ちょっと見栄えはよくないが。
基板に実装して動作確認。うん、問題ない。一安心。
快適に動作するようになった。改めて、かっこいいデザインだしきれいな筐体だ。昔はこんな感じのステレオがありふれていたんだけどな・・・。

復活できたのだが

電解コンデンサ、リレーと立て続けに故障が発生した。何とかDIYレベルで対応できる範囲だからよかったものの、次回、別の故障が発生してしまったら復旧できないかもしれない。いっそのこと、バックアップ機を購入したほうが良いのではと思うところもあり、今でも中古品の物色を続ける日々。候補の製品を見つけても、本当に必要なのか自問しつつ購入に踏み切れない状態が継続している。この機体に末永く頑張ってほしいものだ。

レベルメーターの美しい動きを見てください。音声はカットしてあります。音楽はTM Network/Self Control。中学生の時にFMラジオで流れてきて未来っぽい!?リズムに衝撃を受けたのを今でも覚えている。

続きがありまして・・・

このシリーズにはスピーカーもあって、SB-F1/F2/F3の3タイプがある。F1が最もコンパクトでF2、F3と順に大型になっていく。またカラーもシルバーとブラックがあるようだ。デスクトップオーディオを形成する上で、SB-F1はちょうどよいサイズ感であり、同じシリーズで揃えたくなってしまう。オークションやフリマサイトをしばらく物色しているうちに、程度のよさそうなSB-F1を発見し、購入。本体購入後割と早いタイミングでスピーカーも手に入れることができたのは運がよかった。目立つようなキズや黄ばみなどの汚れもなく、本当に状態の良いものを手に入れることができた。

そんなわけで、ついに「夢の⁉」デスクトップオーディオが完成した次第だ。このスピーカーもアンプと同じようにアルミダイキャスト成型で小型ながら重量感のあるものだった。アンプもスピーカーも40年以上も前のものなので多少のキズや汚れはあるのだが、逆に40年前の製品なの?と思えるほど見た目の状態もよさそうな機体で揃えることができたので満足している。

机を片付けるタイミングでのショット。実際の設置方法とは異なるが、デスクトップオーディオとしてはこれで完成形となる。1979年発売の製品にはとても見えない、カッコよさがある。テクニクス最高!

今や、日本製のオーディオ機器は壊滅状態であり、テクニクスもアンプ、スピーカーなど復活させているが、以前のようにメインストリームを歩むようなプロダクトにはなりそうもない。ソニー、オンキョー、パイオニア、サンスイ、ケンウッド、ビクター、その他にも多数のメーカーが幅430mmの単品コンポーネントを豊富にラインナップしていた頃が大変懐かしい。大学生の時はミニコンポではなく単品でステレオを揃えるのがオーディオ通だと思い込んでアルバイトに励み、オーディオ沼にはまっていたものだ。大学時代に購入したのはテクニクスではなかったが・・・。

これからも、この分野にはあの時のようなときめきや活況はやってこないんだろうと思うと少し寂しくなりますね。大事に使い続けたい。

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