家とセットで考えておかないといけない・・・
我が家は、いわゆる狭小地になるのだが、建築においては家本体のことばかりに集中してしまい、家族4人分の自転車置き場のことはあまり考慮しないまま、家が完成してしまった。かろうじて、建蔽率の関係で自転車4台を置けそうなスペースは残されたものの、出し入れの不便さや、屋根がないことによって自転車への錆の懸念が残ったりと、安心して自転車を維持できる状態にはなっていなかった。
スペースの問題は今更どうしようもないため、自転車が痛むことがないように屋根だけはきちんと設置したいと思い、工務店に頼らずに自転車置き場を自作で完成させた。本来は設計・建築過程において「自転車4台を置くスペースどうしますか?」という提案があってもよかったのだが、他責にするわけにもいかず・・・。
あれだけ工務店には言っておいたのに・・・
自転車置き場となるスペースなのだが、下図の赤枠の部分、縦方向に約3.6m、横方向(最大部)に約1.6m程度が公道に面しているところに残されており、このスペースが自転車置き場となる。家族4人分、4台の自転車を置くことになるのだが、このスペースだと4人が自由に自転車を出し入れすることはできない。奥に設置された自転車を出すためには、手前側の3台の自転車をいったん出してから一番奥の自転車を出す必要があり、利便性は良くない。とはいえ、この場所を利用するしかないため、自転車をきれいに維持することを目的に、風雨から守るための設備を考えることになる。
このスペースを自転車置き場にすること、屋根も自分で作ることは家引渡し前から工務店には伝えており、「柱脚金具は後から取り付けるのが難しいから、コンクリートを張るときにセットで考えておきましょう」と工務店側とも調整していた。しかしながら、こちらの要望や事前調整の事実は全くお構いなしで、いつの間にかコンクリートが張られてしまっており、これまでのお互いの調整は何だったの?状態に。この工務店はこういうところが多く、「柱脚金具の件はどうなったのか?」とクレームを入れることさえ無駄に思えたため、自力で解決るすることにした。小さな工務店のため、プロジェクトマネジメント的な育成や訓練は行っていないとは思うが、あまりにもtodo管理のようなところさえお粗末なところが多すぎたため、引き渡し時のミーティングでも工務店側に改善要望として伝えたのだが、今はどうなっているのかわからない。
設計
というわけで、自転車置き場をゼロから自分で作っていくことになるのだが、単に屋根を作るだけでは意味がない。風雨は横方向から入ってくることが多く、屋根があるだけでは風雨に対しては効果が少なく自転車が雨でずぶ濡れになってしまう。そのため自転車には錆が発生する。自転車置き場としては、屋根だけでなく、横の壁もあわせて両方を考慮した設計を行う必要がある。
また、屋外設置ということで、柱・垂木等の位置取りだけでなく、台風や強風に耐えられる構造にしなければならない。構造設計などはもちろん理解しようもないのだが、どんな強風が吹いても、屋根張り時に人が乗っても壊れないような丈夫な設計を素人考えなりに追求した。
製作工程
屋外の炎天下での作業ということもあったのだが、製作途中の写真を撮ることをすっかり忘れてしまっていた。そのため、いきなりになるのがだが途中まで組みあ上がった写真、完成後の写真の2パターンしか掲載できなくなってしまった。
今回利用した木材は、代表的なハードウッドであるイペ。住宅のウッドデッキのみならず、公園や桟橋などのデッキ材としても利用されており、耐久性も非常に高くハードウッドの王様ともいえる木材のようだ。その耐久性からか、木材はとても硬く、価格も高い。少しでも長い年月を外で耐えてほしいため今回はすべての木材にこのイペを利用した。一般的なホームセンターでは取り扱っていない木材のため、木工ランドの通販を利用した。
このイペだが想像以上に硬い硬い。すべて鋸&手作業でカットしたのだが、非常に硬くてSPF材や集成材のように簡単にはカットできなかった。ひたすら鋸を前後に動かすだけ。また、フェンスを取り付けるときのデッキビスも下穴無しではとても取り付けられず、その下穴を空けるためのドリルビットも数本が折れたりするなど、二度と使いたくない、と思わせるような「ハード」なウッドだった。さすがイペ・・・。
製作工程の続き・・・
自転車置き場としての骨格が組み上がったので、屋根材、雨どいなどの取り付けに移る。塗装については、家の茶色い壁と色をあわせることも検討したが、ハードウッドは次第にグレーになっていくということで、これもまた味かなと思い、まずは塗装せずにスタートすることにした。数年後に確認して、色合いが悪いようであれば、その時に塗装することを再検討したい。
製作費用
価格の高いイペ材をふんだんに利用したこともあり、DIY単品としては過去最高額を記録した。金具(アンカーなど)もちょくちょく追加購入したこともあり、この自転車置き場に投入した部材すべてが今となってはピックアップが難しいのだが、おおよその価格としては以下のような感じになる。デッキビスのようにすべてを使い切らなかったものもあれば、ボルト・ナットなども予備で購入した数量も含まれるため少し余ったりした。
材料 | 用途 | 数量 | 価格(合計) | 購入方法 | コメント |
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イペ | 自転車置き場の骨格 | 一式 | 142,300 | 木工ランド(通販) | とにかく硬い木材! 10年は腐らないとのこと。 |
雨どい | 雨どい・たてとい・関連金具等 | 一式 | 15,549 | 金物建材(通販) | ホームセンター数件回ったが、このタイプは無かった |
ポリカ波板 | 屋根材、固定金具等 | 一式 | 11,470 | ホームセンター | ポピュラーな部材なので入手性は良い |
金具 | 柱固定のL型金具、アンカー等 | 一式 | 4,928 | ホームセンター | 一度に全ては揃えられず、こまめに通った |
金具 | ボルト・ナット・ワッシャー・羽子板金具・ステンレスプレート等 | 一式 | 11,424 | ホームセンター | 同上。羽子板は最後の写真でL型に見えているイペ材を固定するときに利用。 |
金具 | ばら売りのボルト・ナット・ワッシャーなど | 一式 | 9,566 | ホームセンター | 木材を固定するときに利用したM10*100mmなどの大き目の金具 |
金具 | デッキビス。フェンス材の固定用 | 一式 | 8,360 | ホームセンター | コーススレッドとは違って、価格も高い! |
合計 | 203,597 |
イペ材は十数年にわたって腐らないというところを信じで奮発したのだが、それ以外の金具関係に想定以上の費用がかかってしまった。屋外施工となるため可能かなぎりステンレスのものを購入したためだ。
20万も投資して素人がDIYするというのはかなり勇気がいるのだが、完成後の佇まいを見ると家とセットで作られたような一体感もあるし、ぱっと見、素人が作ったようにも見えないところもあって、それなりに良いものができたのではと思っている。製作途中に、近所のおじさん、おばさんたちが声かけてくれて「上から落ちないようにね!」なんて会話も弾んだりして、コミュニケーションにも一役買った。
隣の駐車場&アパートはそれなりに年数が経っているため、いずれ建て替えによりブロック塀がなくなることが想定される。自転車が横からの風に晒されるようになるため、再度フェンス構成の追加検討が必要となると考えている。
また、年数を経たハードウッドがどのような色合い・状態になるのかを観察して、どこかのタイミングでご紹介したいと思う。