シンプルなシェルフの製作(2024年1月)

シンプルなシェルフの製作(2024年1月)

主張しない構成を求めて

デスクの右側にとてもかわいらしい飾りもの置き場(高さ約900mmのシェルフの上)があるのだが、横方向に物を置くスペースがなくなってきたことと、少し混雑気味になってきたため、上部の空間も使って飾り付けができるようなシンプルなシェルフを製作した。

シェルフ製作前の様子。この場所の上側の空間(矢印のあたり)を有効活用できるように「シンプル」なシェルフを設置する。北側斜線制限によりこの部分の天井は低くなっており、高さが約900mmの空間となる。

設計

いつものように、あーでもない、こうでもないと様々なアイデアが浮かんでは実現性(棚としての強度、見た目)や作りやすさの観点などで消えていく。一番最初にVisioで図面を起こしたのが2023年の10月初め。約2か月ぐらいで構成が確定しているから今回の設計期間は短いほうだ。単にシンプル過ぎて複雑な設計要素がなく、代替案もこれといってなかっただけだったりする。

検討当初から構想として持っていたのは、側板を使うシェルフにはしたくないということ。先ほどの写真にある予定スペースに、カラーボックスのような箱構造のシェルを置いてしまうと、側板による影ができるし、横方向の視線が側板で遮られてしまうため、重たい感じになってしまう。

理想としては、壁から棚板が突き出て浮いているような構成なのだが、このような棚板を設置するためには壁自体への金具取付が必要となるし(金具が見える、見えないの構成はあるが)、後から棚板の位置を変更できなくなる。デスク(テレワーク用の書斎)は寝室の一角を利用しているため、このような場所・物が固定されるのは避けたいところ。

最終案として残ったのが丸棒を側板代わりに使って棚板を固定する方法。しかも、丸棒が可能な限り壁側に近い位置になるように設計することで、よりシンプルさを追求できる。棚板を固定するニッケルダボも見えないように工夫した(詳細は後ほど)。

なんとか年末までに構想がまとまって、必要な材料も調達することができ、正月休みに製作に着手することができた。

幅900mmぐらいまでの棚板を設置できるスペースはあるのだが、大きすぎても圧迫感がありそうなため、600*200mmのパイン材に合わせて設計・製作とした。丸棒を板の四隅に配置するのではなく、前側を中心位置に配置することで、少しでも圧迫感をなくす。下側にもともと設置されている大きいシェルフと天井との間で突っ張る形で棚を固定する。(クリックで拡大)

製作工程

複雑な構造でもなく、手の凝った加工が必要なわけでもないため、製作開始から約1週間で完成することができた。もちろん、毎日この作業ばかりやっていたわけではないのだが。

購入した木材。600*200*18mmのパイン材2枚と、20mm径*900mm長さのホワイトアッシュ丸棒。一番奥の角材は自宅保管で残っていたタモ材。丸棒はダボを差し込んで固定するため、ダボにより穴が緩まないようにハードウッドを利用した。
側板となる丸棒を上下から挟み込む角材。長さ130mmとして、あまり主張しすぎないようにした。
突っ張り構成にするための押しバネを同じサイズで4つそろえることができなかったため、丸棒1つだけ5mm長くカットしている。詳細は押しバネが登場する写真のところで解説。
先ほどの角材に20mm径の丸棒を差し込む穴を加工。深さは押しバネを使わない下側が30mm、押しバネを使う上側が40mmとしている。押しバネが入る上側は丸棒がスムーズに動くように21mm径で穴を空けている。下側は丸棒がきつめに固定されたほうが良いため、20mm径で丸穴を加工。
棚板に丸棒を通すための21mm径の穴を加工。丸棒が20mm径なので、引っかかることなくスムーズに板を上下移動させることができる。加工位置を間違えないように上下の角材との位置を入念に確認し、墨付け・加工する。
余っている丸棒を使って組み合わせ確認。矢印が丸棒(=側板代わり)。問題なさそうだ。
上下の角材で丸棒を挟み込むのだが、上側に押しバネを入れることで突っ張り棒のような形で固定する。完成後に設置する時に引き下げしやすいように手をひっかける溝を上側にだけ加工した。なお、穴が黒くなっているのは使った21mm径のフォスナービットが非常に切れ味ひどくて、ボール盤で何度も往復させているうちに板が焦げ付いたためだ。見えないので気にしないことにする。ハードウッドは加工も一苦労。
棚板を固定するニッケルダボを目立たせないために、ダボが棚板に隠れるように溝を加工した。実際に隠れる様子は後ほど。
ダボは壁側に取り付けることで、正面からは丸棒のダボ穴が全く見えない。写真では左側が壁側となる。
木材の加工が完了。今回利用する木材はたったこれだけと、いたってシンプル。
棚板の前側は、軽い感じに見せるために下になる部分を斜めに加工。ルーターテーブルで一気にザクっと削って終わり。なお、木材は200番のサンドペーパーで全体の面取りや磨きを行って、最後に400番のサンドペーパーで仕上げた。
オスモカラー(ノーマルクリア)で塗装。塗装後、乾ききる前にウエス(古いポリエステル系のTシャツでOK)でふき取って乾かす。毎度、オスモのにおいがすぐに取れないため、今回は2日間外で乾かした。(もちろん、夜は屋内へ退避させている)
完全に塗料が乾いた後、400番のサンドペーパーで軽く、全体をこする。これによって、木材の細かい毛羽立ちをなくすことができて、表面をつるつるに仕上げることができる。削りすぎには注意が必要。1往復もさせないぐらいでOK。

組み立て

実際に設置する場所に持っていく前に、ワークベンチ上で組み立てる。製作物自体は大きくないがニッケルダボの位置調整を行いながら組み立てる必要があり、精度を確保するためにも組み立てた後に利用場所へ持っていくことにした。

同じ長さで4本そろえられなかった押しバネ。右側3つは長さ28または29mmで同じ長さの丸棒を利用できるのだが、左側の押しバネは長さ21mmのため少し長めに丸棒をカットした。年末に材料調達に行ったホームセンターに同じ仕様の押しバネが複数個販売されておらず、かといって別のホームセンターへ行くのが面倒だったため、この4つでいいや、となった次第。よく見るとすべてバラバラだったりする。白線枠内は、棚板を固定するニッケルダボ。これは自宅のストックから利用。
下側の角材に丸棒を差し込んで一番下のダボ位置を基準に4本とも高さをそろえる。丸棒はきつめにはまってくれるので接着剤は利用していない。
上側の角材には押しバネを入れる。ただ入れるだけ。
適当な位置に棚板を固定した後、丸棒の上側に先ほど押しバネを入れた角材をかぶせる。溝の部分に指が引っかかるように挟んで下矢印方向に引っ張ることで、突っ張り棒のような固定/リリースを実現できる。
念のため、棚板の水平度合いを確認。問題なさそうだ。
棚板を下から見たところ。ニッケルダボが完全に隠れていることがわかる。
棚板を横から見たところ。ダボは見えないし、ダボ穴も壁側を向いているため、棚板が浮いているように見える。と言ったら大げさか・・・。

設置

先ほどの組み立てた状態のまま、利用場所までもっていき設置した。このシェルフは上下から圧縮するような形で固定しないとグラグラする構成のため、運ぶ時にも壊さないように少々気を使った。

いったん、小物類を移動させる。この空間に今回製作したシェルフを設置する。
設置後の様子。側板がないことで広々した感じを確保できており、暗くなることもなく狙ったとおりの雰囲気にすることができている。(クリックで拡大)
角材の中に入れた押しバネにより、突っ張り棒形式で固定している。もちろん、後から設置場所を変えることもできる。ただし、この高さの空間でしか利用できない(事実上、このあたりの位置だけでの利用となる)。

製作費用

とてもシンプルな構造のため低コストでの完成を目指したのだが、想定以上にコストがかかってしまった。というのも、この1、2年ほどの木材価格の上昇はすさまじく、例えば今回利用した600*200*18mmのパイン材は1枚で約1200円。以前は、700円とか800円ぐらいで購入できた記憶なんだけど。また、丸棒はハードウッド(ホワイトアッシュ)を利用したため、これも高くついてしまった一因となっている。なお、塗料やニッケルダボなどは消耗品扱いとして、価格に含めていない。

材料 用途 数量 価格(円) 購入方法 コメント

パイン集成材600*200*18mm

棚板 2 2,376 コーナン 2枚の価格

ホワイトアッシュ丸棒20mm径*900mm

棚柱 4 1,968 コーナン 4本の価格
押しバネ 棚柱固定用 4 608 コーナン 4個の価格
合計 4,952

3,000円ぐらいでサクッと完成すればいいなとは思っていたものの、5,000円ほどコストがかかってしまった。上下の角材にはタモのストック材を利用したが、これも今購入したら1,000円ぐらいの価格のため、さらなるコスト増になっていたはずだ。

コスト云々は置いといて、細かいところを見ると特に丸棒へのダボ穴加工など精度面でもう少し頑張れたのになーと思うところはあるが、手作り感満載のシンプルなシェルフに仕上がったし、家族も喜んでいたので大成功!かな。

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