ダイニングテーブルの脚とベンチ(2014年12月)

ダイニングテーブルの脚とベンチ(2014年12月)

満足のいく既製品が見当たらず、脚を自作

ダイニングテーブルを購入するにあたり、”一生もの”との想いでちょっと奮発しテーブル天板には重厚なモンキーポッドを選択した。家具屋さんに行くまでは、モンキーポッドという樹種は知らなくて、ウォールナットの天板が欲しいと決めていた。ただ、お店でこの板を見たときに、板自体は焦げ茶色なのだが、両端がクリーム色をしており、”モンキーポッド”という独特!の名前に惹かれるとともに、印象的な板目から「これに決めた」っとなった。板厚は55mmあり、重量も相当ある。これにふさわしく、かつ気に入った脚を見つけられなかったため脚のみ作成することにした。

椅子は製作にも時間がかかりそうだし、ひじ掛けタイプが欲しかったため、テーブルにマッチしそうなものを2脚購入した。

ダイニングテーブルとベンチ。奥の2脚の椅子のみ購入。テーブルの脚は3本構成として、両側の脚の色を天板の両側と近似色にしている。

設計

家具屋さんに行ったときに、テーブルと脚が最初からセット販売されているようなデザインの脚があれば、天板と一緒に購入していたと思うのだが、後付け感が強くて、「脚に天板を載せています」と言う感じにどうしても見えてしまうものばかりだった。

で、前述のとおり、自作となったわけだが、人間が座るときに足をテーブル下に出し入れする時にテーブルの”脚”に”足”をぶつけないようなスリム構造にしつつ、重量物の天板を乗せてもボキッと倒れたりしないように、少しでも幅広く、でもすっきり見える、というデザインを狙った。結果的に下記のような設計となった。

テーブル脚はセンターを120mm、その両端を40mm×2とすることで、280mm相当の脚で天板を支えているのと同じ構成にしている。両端の脚は、90mm幅の幕板とジョイントコネクタで固定。天板はただ乗せているだけだ。

天板の両サイドがクリーム色という独特の色合いと調和させるために、脚は小/大/小の3本構成として、両端の小さい支柱をクリーム色に見えるように木材はホワイトアッシュを選択、センターをウォールナットとした。

なお、ベンチについては実家に帰省した時に父親が60mmのセンダンの一枚板を持っていて「使うなら持って行っていいぞ」とのことだったので、設計した通りの長さにカットしてもらい、持って帰ったもの。樹種が違うものの、いい感じに仕上がっている(詳細は後述)。

材料の調達

購入する木材は、テーブル用の脚の部材と、ベンチの幕板のみ。テーブル脚はホワイトアッシュとウォールナット、テーブル脚を連結する幕板はタモ集成材(目につかないところなので集成材にした)、ベンチの幕板はこれもホワイトアッシュとして、全部で三種類の樹種を購入した。長尺方向の長さ指定以外は、サイズをカスタマイズして購入したいため、こういう場合は毎回マルトクショップでのネット購入を利用している。ホワイトアッシュやウォールナットなどの樹種は近所のホームセンターでは販売していないという理由もある。購入金額は最後にまとめた。

脚部の底板と天板の加工

脚部の底板と言うのが正しいのかどうかはわからないが、角が残っていると人間の脚をぶつけやすくなるため、斜めになるように設計している。購入時にショップに「斜めカット」が可能か問い合わせしたところ、対応していないとのことだったため、自分で頑張ってカットするしかない。スライド丸鋸のような斜めカットが簡単にできる電動工具はもっていないため、鋸で手動でカットする。

鋸で切り込んでいくうちにカット位置がずれないように、写真のように廃材の板で鋸を挟み込み、この板に添わせる形でカットする。
鋸で手動でカットした直後。矢印部分のラインがまっすぐにそろっていない。
鉛筆でひいたラインにそろうようにカンナで斜めの面を削る。このとき、斜め面全体の凸凹も補正する。ある程度きれいにそろえることができた。
さらに底板については、両端を斜めにカットして少しでも足をぶつけにくい形にした。奥の方に見えるのはテーブル天板を乗せる側になる「脚の天板」で、こちらは足や手をぶつけることはないため、ルーターで丸く加工しただけの構成とした。

ホゾ加工

脚の上下をつなぐテーブル脚の支柱は横揺れに対する強度を確保するため、ホゾ接合にした。今回はコーススレッドも使わずにボンドでの接合にしている。

ボール盤+フォスナービットを使って可能な限り、長穴を掘っていく。開ける穴の深さを一定にして、木材をスライドさせながら穴を開けていけば、写真のようにきれいな長穴を掘ることができる。
両側の脚の部材となる4本分を加工した後。フォスナービットでの加工後のため、まだ四角いほぞ穴にはなっていない。
その後、ノミを使って四角く削る。これでほぞ穴が完成。手前2つが下側、奥の2つが上側になる。このようなボール盤の使い方は正しい使い方ではないのかもしれないが、ボール盤自体は音も静かだし、一定の深さ、位置での加工もしやすくてお気に入りの電動工具だ。

テーブル脚の支柱の加工

脚部の上下の板の加工が終わったので、支柱となる板6本を加工する。センターは120mm幅、その両サイドが40mm幅の構成となる。

いきなり加工後。地道に3,4mm程度の深さでストレートビットを使って削っていく。もちろん、ルーターテーブルを利用している。ホゾを結合した時に緩くなりすぎないように、調整しながら仕上げる。
両端の脚を連結するとともに、テーブル天板を支えるための幕板を取り付ける部分を加工する。アリ溝ビット使ってメス側を加工する。
その後、ルータビットの位置(深さ)は変えずに(そのままの状態にして)、オス側になる板を加工する。これも、接合した時に緩くなり過ぎないように、仕上げる。
左右分、2つ加工する
このようにテーブル脚の両端の内側にアリ溝で結合することになる。
テーブル下の幕板を固定するためのジョイントコネクター取り付け穴を加工する
これが両端の脚どうしを連結するための幕板。ジョイントコネクター用の穴を加工済。
作業台の上で仮組した後の様子。その写真を上下反転させた状態。このような感じで接合、連結される。

塗装

白色系の木材は、オスモのノーマルクリアーで、ウォールナットはオスモの”ウォルナット”の塗料を利用した。コストはそれなりにかかるものの、オスモカラーで失敗したことはないため、よほどケチケチしない限りは、オスモカラーを利用している。

ビニールシートの上で塗っていく。完全に乾ききらないうちに、ウエス等でふき取ると塗り斑もなくきれいに表面が仕上がる。安全塗料とはいえ、屋内で塗るしかないため、2,3日はオスモカラーの香りが残ってしまう。

脚部の組み立て

今回はビスを使わずに、ボンド(タイトボンドを愛用中)だけで結合する。はみ出したボンドは濡れ雑巾できれいにふき取るとともに、一晩ぐらいしっかりクランプで圧着すればよほど無謀な利用をしない限り、問題なく接着できる。

長さ1000mmの大きなBESSEY KボディレボKREクランプで一晩固定する。このクランプは利用頻度は少ないが、長さ500mm以上のものを固定する場合などにものすごく役に立つ。
クランプを外した後。同じものが2つ完成。
脚の内側部分のショット。天板側で飛び出している板が見えるが、これと幕板をジョイントコネクターで接合することで、両側の脚が連結される。
脚、上側のショット。角を丸く加工している。この板の上に1mm厚ぐらいのゴムシートをのせてから、天板をのせる。
脚の下側のショット。機械で可能したようなスムーズさ!と言ったら言い過ぎか。

いよいよ組み立て

冒頭に完成後の写真を掲載しているが、少し遠めからダイニング(正確にはリビング・ダイニングだけど)に設置した様子を載せてみた。

写真のテーブル右側は細めのキッチンカウンターになっていて、その壁に寄せて設置している。奥の2つの椅子は購入品。
キッチンカウンター側。ちょっと写真が暗い。
反対のリビング側。両足を連結する幕板はセンタから少しオフセット状態になっている。あえてセンターにしなかったのは、途中の加工工程で掲載している小さな板をセンター支柱の中心位置に取り付けたかったためだ。デザイン上でも問題ない。

ベンチの製作工程を少しだけ。

ベンチはシートを支える幕板部分と脚になる部分が相欠き接合になるように加工した。製作途中の写真を残していなかったため、少なめの説明になってしまった。

相欠きになる部分の両サイドを鋸で切り込みを入れておき、不要な部分をボール盤+フォスナービットを使って加工する。
ビットの構造上、ビット中心部の穴がこのように残ってしまうが見えない部分でもあるため全く問題ない。不要なところはノミでさらって平面に整える。
こちらはベンチの脚部分。さすがにこの板の加工はボール盤ではできないため、鋸で切り込みを入れた後、ドリルビットで不要部分を切り落とし、最後にのみで仕上げている。下はドリルビットで不要な部分を取り除いただけの様子で、上のように最後にノミできれいに面を出す。
ベンチ座面すぐ下の幕板はネット通販で購入したホワイトアッシュだが、それ以外は父親からもらってきたセンダンの木。板に反りが少し残っており、厚みもあるため矯正なんてとてもできず、少し浮き上がった感じになっている。なお、座面は幕板の底面からジョイントコネクターと鬼目ナットの組み合わせで固定している。重厚な仕上がりだ。

製作費用

塗料や接着剤などの消耗品的なものは除いて、木材の購入費用をまとめてみた。

材料用途数量価格
(円)
購入方法コメント
ウォールナット
無垢板
脚/支柱の中心部分27,340マルトク
ショップ
40*120*600mm
ホワイトアッシュ
無垢板
脚/支柱の両サイド部分
(白い部分)
42,120マルトク
ショップ
40*40*600mm
ウォールナット
無垢板
脚の底板部分
(床面側)
27,140マルトク
ショップ
40*100*700mm
ウォールナット
無垢板
脚の天板部分
(テーブル天板のすぐ下側)
27,660マルトク
ショップ
40*100*750mm
ウォールナット
無垢板
テーブル幕板との連結用21,040マルトク
ショップ
30*90*150mm
タモ集成材(積層材)両脚の連結用幕板11,750マルトク
ショップ
30*90*1350mm
ホワイトアッシュ無垢板ベンチの幕板
(座面のすぐ下の板)
14,400マルトク
ショップ
55*90*1450mm
合計 31,450
テーブル脚にかかった費用

ホワイトアッシュ、ウォールナットなど広葉樹材を多用しているため、それなりにコストがかかっている。やはり、ウォールナットは見た目も素晴らしく、高級感もあるだけに高い。でも、失敗することなく、追加で木材を再購入することもなく完成することができてよかった。天板と脚がセットで販売されている既製品のような感じに仕上げることができた。

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