車庫のすみっこに小さい収納庫を設置(2021年11月)

車庫のすみっこに小さい収納庫を設置(2021年11月)

狭いスペースを最大限に活用するための設計に苦戦

狭小住宅の一角(玄関の横:階段下のわずか1畳にも満たないスペース)で木工作業を行っているが、収納スペースがほとんどないため普段使わない道具や材料などは屋外に退避できないかと以前から考えていた。しかしながら物置倉庫を設置するような庭やスペースが我が家にはない。唯一の可能性として残った車庫内のすみっこに、床から天井までぴったりに設置できる収納庫を製作した。

コンセプト

どんな感じの収納庫にすれば車の出し入れや車のドアの開け閉め時に気にならないか、モノの出し入れがしやすいかをランニング中にも考えながら、実現したい内容をコンセプトとしてまとめた。不思議と、深く考えたいこと(仕事もDIYも)はランニング中にいろいろとひらめきが出てくることが多い。

  • 収納庫のドアの開き方を工夫して、駐車状態でも収納庫から物を出し入れがしやすい扉構成にする
  • 収納庫内の棚板は、ある程度自由に高さ(位置)を調整できるようにする
  • 収納庫の存在を気にすることなく、車庫の床(コンクリート)を水で洗い流しできるようにする(水分で木が腐らないようにしたい)
  • 超狭い花壇のガーデニング材料(土などの残り)も収納できるようにする
  • 設置場所にあるコンセントや電源レール、近くの窓などを避けながら最大限のサイズにする
  • 車庫とはいえ、住居の外になるためカギをつけたい

こんなことを考えながら、いつものように設計にずいぶんと時間がかかってしまった。Visioでデザインを始めたのが2020年3月頃で、設計が固まったのが2021年10月、製作着手が11月。途中、仕事などで十分時間が取れない時期もあったとはいえ、設計確定までに時間がかかりすぎる。工務店や家具工房だったら早々と店じまいになってしまうよね。思い切りが足りないのか、よく考えていると言うべきなのか、、、。

設計

以下が完成した設計図。どんな材料(木材)を使って収納庫の骨格を構成するのか悩んだが、強度と上げ底式の構成、コストを考えるとSPF 2×4を主体に設計にした。OSB合板などをうまく組み合わせる方法もあったのだか、棚柱を取り付けるための壁の厚さや、底上げに利用するアジャスターボルトの取付強度などを考慮すると、2×4材程度の厚みが必要と考えた結果でもある。

全体構成図。左側が側面で、右側が正面。床から50mmちょっと浮かせて、天井高さぴったりに収まる構成にしている。扉はスライドタイプと観音式のどちらにするのかかなり悩んだが、2方向から扉の開口部を幅広く確保する案を思いついたため、観音扉形式のドアにした。(クリックで拡大)
収納庫を上から見た図。赤丸の点線部分に蝶番を取り付け、図のような構造で扉を開閉する。緑色の矢印方向で収納庫に面したときは開口部や背中側に位置する車との空間が狭い。しかし、左側の扉を全開にしたときは、青色の矢印方向(2方向)から出し入れができるようになり、青線部分を開口部にできる。そのため、比較的大きなものも格納しやすくなる。(クリックで拡大)

使った主な材料

メインの構造材としては、SPFの2×4とべニア板を利用した。扉部分の枠は1×2と1×3を組み合わせて、その他は自宅に残っていたMDF化粧板を活用した。

収納庫の棚柱にはLAMP アルミ製面付棚柱を利用、底上げ部分には業務用厨房などで利用されているアジャスターボルトを利用した。扉の鍵などは製作工程で紹介する。

採用した棚柱。ステンレス製と比較して価格が安かったのと、いざとなったら長さを自分でカットできるアルミ製であり、LAMPというブランドも安心材料だった。金森金物店(ネット通販)で購入。
収納庫自体を床から浮かせて設置するために利用。図の青枠が収納庫だとして、このようにボルトで下から押し上げることで収納庫を天井との間でぴったりと突っ張る構成にした。モノタロウで購入。

製作工程

途中、いきなり工程が進んでいるところもあるが、写真を使って順にまとめてみた。

ホームセンターで2440mmのSPF材を購入。自宅は超狭小工房であり、この長さを持ち込んでのカットは難儀するため、ホームセンターでカットしてもらった。複数枚重ねてカットしてもらえるため、同じ長さでそろえやすいのもメリット。(事前にお店の人に、こうやってカットしてくれと伝えることが重要)
カットしてもらった材料。短いものは、収納庫の材料しては利用しないのだが、何か別のもので利用できるため全部持って帰る。
車庫の収納庫設置スペースにある電源コンセントやスイッチなどを避けるための加工を施す。同じような加工を複数個所に実施。
先ほどの加工した部分が、設置場所の突起物(電源スイッチ、コンセント、レール等)と干渉しないかを組み立て前に確認。
その他の場所も問題なさそうだ。
設置場所に収まることを確認した後、SPF材を連結する。連結する板を重ね合わせて、端材とクランプで面がそろうように固定する。その後、青丸部分のように下穴を開け、コーススレッドで固定する。壁側を向く面からネジで固定することで、この下穴が外部からは見えない。
右側の側板になる部分の接合が完了(青枠部分)。同様の工法で左側側板も製作する。
接合済の部材とそれ以外のものも一緒に車庫の壁に合わせてホワイトの水性塗料で塗装。二度塗りして乾燥後に250番の紙やすりで軽く磨いて毛羽立ちを取り除く。
1回の週末では完成しないため、車庫に保管して、また次の週末に作業する。
各パーツを自転車置き場へ引っ張り出し、「箱型」に組み立てる。写真は天井側の様子。
こちらは床側から見た様子。背面が上になっている。直角も確認しながら固定する。
収納庫の床面から見た様子。矢印部分、穴が4か所、加工されているが、ここにアジャスターボルトを挿入し、天井と突っ張ることで車庫に固定する。左右非対称の観音扉の関係で、アジャスターボルト取り付け位置も少し異なる。
収納庫の設置場所。斜線部分のあたりのすみっこの壁にぴったりとくっつけて設置する。写真の小窓にもぶつからないぎりぎりのサイズにしている。
車庫の入り口に収納庫を頑張って運んできて、アジャスターボルトを挿入。この時点では天井とのスペースができるようにナットを一番下まで下げておく。ビニールシート上に建てた後、矢印方向に引っ張り(倒れないように注意)、先ほどの車線部分まで動かす。
所定の場所までもっていき、壁にくっつけようとしたときに悲劇が。窓の下側の突起が当たり、壁に密着できないことが判明。この部分も考慮したつもりだったのだが、切込み度合いが不足していたようで、追加で、赤四角部分を切り取り加工した。
収納庫を壁に密着できた後、アジャスターボルトのナットを天井方向へ移動させることで、収納庫と天井との隙間がなくなり、突っ張り状態で固定することができた。
収納庫下側の様子。このように収納庫を床から浮かせて設置した。業務用厨房などでキッチンや調理台が床から離れていて、水でじゃぶじゃぶ床を流せるところがあったりするが、あのイメージだ。車庫を掃除するときに収納庫の水濡れを気にしなくてよい。
収納庫内に棚柱を設置。水平器で確認しながら位置を調整。左右2本で位置決めできたら残りの2本もこの位置に合わせて取り付ける。
右側の扉を取り付けるための板を設置。レールや基礎部分の板金?と干渉しないように加工している。コーススレッドの下穴はダボでふさいでから同じ色で塗装した。今思えば、扉を右側側板に直接取り付ける構成でもよかったかもしれない。
こちらは左側の扉取付。蝶番を3か所利用。この可動部分の2×4材と直角になるように、扉のパーツを取り付ける。
扉の開閉がいまいちスムーズではないため、蝶番を無理やりだが少しだけ矢印方向に曲げて、扉の動きを調整した。
天井側の様子。扉を閉めた時は青い線のような面になる。
強度的には問題ないと思うのだが、直角を維持するためにL型金具で補強した。これは、収納庫の右側。
収納庫の設置完了後。青丸部分が干渉しないようになっている。
次に観音扉の製作。MDF板をはめ込む溝をトリマーで加工。
扉全体を一枚のMDFでは構成できなかったため、真ん中に板を挟み、窓(実際には見えない)が上下に分割される構成にした。ダボも後から塗装した。
扉の部品が完成。
こちらは、棚板をホームセンターでカットしてもらっているところ。棚板の枚数がそれなりにあるため、この部分のコストもばかにならない。今回は最も安くできそうな9mm厚のラワン合板を採用した。
棚板を設置してみた。自宅に残っていた板と合わせて、合計8段構成。

完成

完成後の様子。

車庫奥側の全景。左すみっこに収納庫が設置された。床面から浮き上がっているため、床を水で流しても問題ない。
正面。ポールハンドルをドア取っ手として取り付けた。
扉に利用した板が沿っていることもあって、収納庫下部の部分が面一になっていないのはご愛敬。また、SPF材の節穴は加工することなくそのまま利用した。味があるかなと、、、。
扉を全開にしたところ。
開口部を正面から見たところ。一番下は床まで突き抜ける構造にしているため、この部分にガーデニングで余った土などの重量物を格納することができる。
開口部を左側面から。駐車状態であっても、この方向から物を出し入れしやい扉構成になっている。
電源レールのスイッチも問題なく利用可能。物を収納した状態では押しづらくなるが・・・。
コンセントも利用できる。収納物や棚板の位置は考慮する必要アリだが。
扉キャッチを取り付けている。
左側の扉もL側金具で補強している。
カギを3か所から見た様子。ハンドルを角型の南京錠で固定する形にした。ほかにもやり方はあったかもしれないが、手軽に製作できる妙案が思いつかず・・・。

製作費用

今回の製作費用をまとめた。コーススレッドや塗料、サンドペーパーなどは消耗品扱いにして含めていない。

材料 用途 数量 価格(円) 購入方法 コメント
SPF 2×4
(2440mm)
収納庫の側板 6 4,272 ホームセンター
コーナン
ホームセンターでのカット料金は160円(別途)
SPF 2×2
(2440mm)
収納庫の側板 2 2,376 2×4と組み合わせて利用
SPF 1×4
(1820mm)
収納庫の扉 1 932 1本にしては高すぎる気が。レシート見ても間違いないし、、、。
SPF 1×3
(1820mm)
収納庫の扉 1 382  
SPF 1×2
(1820mm)
収納庫の扉 4 1,308  
コンパネ 収納庫の背面板、天板部分 1 1,738  
L型金具 扉の強度補強 6 814 ホームセンター
ホームズ
 
ラワン合板
600*450
棚板 6 3,532 内寸に合わせてカット
フラッシュ蝶番 観音扉の取付 6 1,191 2サイズ併用
ハイロジック
ポールハンドル
扉の取っ手 2 992 ヨドバシドットコム  
アルミ棚柱 棚板固定用 4 4,000 金森金物店 棚受(640円)、送料(1600円)を含む
アジャスターボルト 収納庫の固定用 4 3,494 モノタロウ 送料(500円)を含む
LAMP マグネットキャッチ 観音扉用 1 806 Amazon  
ソールハード
倉庫錠
観音扉用 1 2,193  
合計     28,030    

うーん、DIYの恐ろしさを改めて実感した。構想・設計段階から熟考を重ねてコストはかなり意識して最終選択・購入してきたつもりなのに、こうやって合計金額を算出してみると案外費用が掛かっていることにびっくり。PCと一緒で自作よりメーカー製を購入したほうが安い時代かも。ただ、既製品では自分が思っているようなサイズ、スペース、利用方法にフィットするようなものが存在しないため、中長期目線で考えれば、これもやむなしといったところか。それなりにきれいに仕上がったし。

製作途中で近所のおじさん、おばさんが「今度は何を作っているの?」とか、実際に駐車場に運び込んだ後を見に来てくれたりと、日曜大工はコミュニケーションのツールにもなり得る。小さい収納庫だけに、早々と中は収納物で埋め尽くされている。

Woodworkingカテゴリの最新記事