秘密基地デスク用のリクライニングチェアの製作(2020年8月)

秘密基地デスク用のリクライニングチェアの製作(2020年8月)

残念。少しサイズが大きすぎた&使いづらい結果に・・・

2018年4月に秘密(じゃない)基地となるロフトの柵&組み込み型のデスクが完成したが、このスペースで使う椅子がなかなか決まらない。とても狭いスペースではあるものの、リクライニングさせて半分寝そべった状態でビデオを見たりしたいなと思っていた。だが、リクライニング機能付きのオフィスチェアはあの場所の雰囲気にマッチしない。逆にリクライニングできる木製のおしゃれな椅子(ガーデンチェアなどで検索するとヒットする)は、デスクワーク用の高さになっていないためそもそもの目的を達成できない。そのため、いつものように椅子も「自作」の道を選ぶことになるのだが、すぐに完成というわけにはならないので、しばらくはあの「旧作業台」を椅子代わりに過ごすこととなった。

このスペースでリクライニングチェアを使ってビデオも見たい。だけど、「鉄製」のオフィスチェアはこの場の雰囲気には合わない。じゃあ、「自作」するか!
椅子が完成するまでは、だいぶ前に作業台代わりに使っていた踏み台に登場いただくこととなった。これを椅子としてしばらくの間使うことになった。なんだかんだで、この踏み台、大活躍だな。

リクライニング機構がなかなか決まらない

単なる木製の椅子であればそれほど悩まなくてすぐに設計して作れそうなのだが、自作の木製椅子でリクライニング機構を実現するというのが非常に難しい。専用の金具は販売されていなさそうだし、背もたれの角度調節機能をどうやって実現できそうか、設計は混迷を極めた(大げさ・・・)。いちいち立ち上がって後ろに回らなくとも、座った状態でリクライニング角度を変更できるようにしたく、これがさらに設計を難しくしたとも思う。

ロフトの柵が完成に近づいた2018年の1月には椅子の設計を始めていたため、設計が確定するまでに約2年ほどかかり、設計完了となったのは2020年4月になってから。言い訳になるが、まとまって椅子の設計・製作に没頭する時間が取れない時期もあって、ずるずると2年近くが経ってしまっていた、というのが実情だ。

どのように背もたれのリクライニングを実現するか、上記はいくつかの案を寄せ集めたものだが、実際はこれ以上の数の案を検討している。座面が固定されているタイプや座面も一緒にスライドするタイプなど、構成も様々。(クリックで拡大)
この場所で利用するため、床から肘掛けまでの高さが640mm以内に収まらないと、机下に椅子を収納できないので、それも考慮した。このひじ掛けの高さが完成後に悲劇を生む・・・(これも大げさ)。
最終案。赤矢印部分のパーツを後ろへスライドさせることでリクライニングを実現する。赤枠部分のように、6段階での固定ができるように設計した。(クリックで拡大)

製作工程

木材をカットする前後の画像が残せていなくて今回も「いきなり感」満載なのだが、加工の工程がわかるように説明したい。

脚部を加工後に木工用ボンドで接合しているところ。左右同じような形になるように重ね合わせてクランプで固定。
脚部の固定が完了。まだ「カクカク」している感じ。
わかりづらいかもしれないが、内側・外側ともに角に当たる部分がラウンドするように(丸くなるように)フォスナービット+トリマーで面取り加工した。そのため、板全体が設計時より10mm程度幅が狭くなっている。
脚部の下側が重い感じにならないように削るとともに、背もたれのリクライニングを実現する6段階の高さ調整用の「受け」を加工。フォスナービットを利用して半円をくりぬいた。
左右並べてみた
重ね合わせて並べてみた。同じ形をしているのでOKとする。
座面の板を乗せるパーツ。作業台に接している部分は脚部と同じ形状になるように加工した。座面は鬼目ナットで固定するため、9mmの下穴をそれぞれ6個空けている。この部品側面にいくつかある穴はジョイントコネクタで椅子本体と固定するためのもの。
左右の脚部を連結するパーツ。下側の2枚にキャスターを取り付けるためのくぼみ(深さ2mmほど)を加工している。上側のバツ印は、これも連結用に加工したのだが、現物をみたところ違うやり方のほうがよさそうなため、結局利用しないことになった。
キャスター取り付け高さを考慮してホゾ加工もセンターではなくオフセットしている。バツ印側は利用しなかったパーツ。
先ほどのバツ印に代わり、使った連結用のパーツ。少し厚みがある。このパーツと直径30mmの丸棒の組み合わせで左右の脚部を連結することにした。
左側の短いものは、ひじ掛けのパーツ。右側の長いものは、背もたれを支えるパーツ。詳細は後程。
背もたれの部品。いちおうホゾ組みで加工。
座面部分。前方は膝裏が負担にならないよう、斜めに取り付けられるように加工している。
ひじ掛け部分。手を置く部分はダブテールで結合する。一部、面取り加工を終わらせている状態。
仮組してみた。丸穴は別のパーツと組み合わせるためのジョイントコネクタ用の穴。

製作工程 -主に面取り加工-

部品としての形は出来上がったため、面取り加工、表面研磨などの仕上げを行う。面取りはルータ、トリマーを利用し、研磨は250番のサンドペーパーで仕上げた。ペーパーをかけるときには埃が舞い上がらないよう、サイクロン集塵機を稼働させながら研磨する。やはり、サイクロン集塵機があるのとないのでは大違い。サイクロン集塵機はこちらを参考に。

背もたれのパーツをルータテーブルで加工。加工断面がさほど大きくないため、あっという間に加工は完了する。
これも背もたれのパーツ。R3mmのトリマービットを使って面取り加工。これもルーターテーブル利用。
左右の脚部を連結するパーツも面取り
写真からはわかりにくいが、この脚部も面取り加工。トリマー利用。
加工後に並べてみたところ
なんとなく加工後の様子がわかるショットを集めてみた
座面のパーツ。椅子が想像以上に重くなりそうだったため、軽量化のために真ん中分をくりぬいた。焼け石に水?
一つ上の座面を固定するパーツも面取り
背もたれのリクライニングを実現するパーツ。仮組して左右の幅が設計通りになっているかを確認しておく。他のパーツと同様に面取り加工。
ひじ掛け部分も面取り。ダブテールでの結合がなんとなくわかるショット
脚部左右を連結するパーツ。少し前にバツ印写真があったた、それが右側のように丸棒と少し厚さのある板を利用する形に変更となっている。キャスターを仮置きしてはまり具合を確認しておく。

いよいよ組み立てへ

塗装工程が写真に残せていないのだが、いつものようにオスモカラーのノーマルクリアで仕上げている。それでは、組み立て工程へ。なお、今回は木ネジは利用しておらず、すべて木工用ボンド(タイトボンド)での接着としている。

水平な場所(単なる床の上だけど)で、脚部左右を木工用ボンドを使って接合する。前後、上下の幅が一定になるように、締めすぎないように位置合わせしながら固定する。
正面から見た状態。前方は直径30mmの丸棒を利用した
斜め後方から見たところ。6段階のリクライニングが可能となっている。背もたれの角度が一番高くなる位置にクランプがはまってしまっているので、5段構成に見えてしまう・・・。
背もたれも木工用ボンドで組み立てて、クランプでしばらく固定する。幅が一様になるように確認しておく。
こちらは、リクライニング調整用の部品。これも幅の正確性が重要。
肘掛けも木工用ボンドで固定する。この後は分解できない。
脚部の木工用ボンドが完全に乾燥した後、クランプを外してひっくり返す。加工済のキャスター取付位置にキャスターを取り付ける。利用したキャスターは、「自在バネ圧キャスター」というもので、荷重がかかると車輪が動かくなる優れたもの。白い丸いものは床のキズ防止用のフェルト。
座面の取り付け前の状態。左側だけ座面受けとなる部品を取り付けてある。それぞれの部品はムラコシオンラインで購入したジョイントコネクターで組み立てた。(クリックで拡大)
そして完成。少し角度を変えて撮影したものを並べてみた。背もたれのリクライニングと連動してひじ掛けも動く構成となっている。

利用シーン

もともとの目的は、冒頭に掲載したロフトスペースで利用するために作成したのだが、実際に組み上がってみると非常に大きく、吹き抜けの内窓経由であってもとてもロフトへ持っていけない。仮に背もたれ、ひじ掛け部分を分解してロフトスペースへ搬入しようとしても、脚部は分解できないため、やはり持ち込みが厳しい。

そのため、ロフトでの利用はあきらめ、テレワーク時のチェアとして利用することにした。寝室の隅っこに奥行の狭いデスクを急造し(かなり手抜きだが)、ワーキングコーナーを設けた。長時間座ってみると、座り心地が良くなくて、少し厚めで硬めのクッションを敷いて、さらに背もたれにも薄手のクッションを立てかけることで何とか実用に耐えるという感じだ。

机と椅子。こんな感じでテレワークスペースを確保。白い枠の部分が飛び出している構造のため、ここに足をぶつけやすいというのも大きな誤算。こんなに目立っているのに、回り込むときなどに不用意に足をぶつけてしまい痛い目にあっている。
背もたれを最も立てた状態。ひじ掛けの高さはこの位置が一番高い状態。通常利用時においてもちょっと低すぎるため、腕を下しても腕全体がひじ掛けに乗っかる感じにならない。そのため、腕の置き心地?が良くないのだ。体を左右どちらかに傾けて腕も下すという座り方の時に、ひじ掛けらしく機能する。
背もたれを最も倒した状態。ひじ掛けも連動して高さが低くなる。この状態だと、ひじ掛けの低さがあまり気ならなくなる。

木製の椅子でいい雰囲気は醸し出していると思うのだが、軽量化のために座面をくりぬいたことが逆にマイナスに響いてしまった。くりぬいた部分が座り心地を悪くしているのだ。また、せっかくのひじ掛けが通常利用時に有効に機能しておらず、高さ調整機能を盛り込んでいないのが設計ミスといえるかもしれない。

製作費用は

ジョイントコネクタや塗料、接着剤などは含んでいない。底面に100均で購入したフェルトを貼っているがこのようなこまごましたものも含まれていない。

材料用途数量価格(合計)購入方法コメント
ホワイトアッシュ椅子本体一式19,900マルトクショップ(通販)送料1,650円を含む
キャスター42,130モノタロウ(通販)ハイロジック
自在バネ圧キャスター
直径30mm 
送料500円を含む
SPF 1*4座面1200近所のホームセンター確かこれぐらいだったはず。198円?
タモ椅子本体(連結用)11,000もくもく(木材専門店)30mm、20mmの丸棒を利用しているが、おおよその価格を記載。
合計23,230

無垢材で製作するとこれぐらいのコストがかかってしまう。構造をシンプルにしていくとコストも抑えられそうだが、今回は少し込み入った構造となったため仕方がない。安いSPF材を利用すればこの4分の1ぐらいで製作できると思うが、SPF材は柔らかいため木の幅、厚みなどをもっと考慮した設計が必要となる。また、高級感ではハードウッドの無垢材に劣ってしまう。

また、これを言ってしまうとどうしようもないのだが、こだわりがなければ「購入したほうが安い!」と思う。最終目的である「ロフトの椅子」はもう一度設計からやり直しして、きちんと狭小スペースへ搬入可能であり、機能性も考慮した椅子を考え直したいと思う。

それにしても座り心地がよくない。テレワーク時にはこの椅子を使うことになるのだが、もしかしたら、どこかのタイミングでチェンジしてしまうかも・・・。

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