秘密基地デスク用のリクライニングチェアの製作Part.2(2022年3月)

秘密基地デスク用のリクライニングチェアの製作Part.2(2022年3月)

サイズはジャストフィット!デザインもまずまず!!
しかしながら、一部想定外なところが・・・

2020年夏に秘密基地用のリクライニングチェアを製作したが、サイズが大きすぎて利用したい場所で利用できないという悲劇に見舞われた。

結局、秘密基地以外での利用となったのだが、実際に利用していると以下のような問題も発生した。

  • サイズが大きい・重いだけでなく、リクライニング機構を実現するための脚部に脚をぶつけやすい。結構痛い!
  • 肘掛けの高さ調整ができないうえに肘掛け自体が低い位置で固定されているため使いずらかった。普段利用時には、腕が肘掛けに乗っからない。リクライニングさせたときにちょうど良い高さになる。

快適な秘密基地を実現するためにも椅子問題の解決は待ったなし!?であり「新・リクライニングチェア」の検討に取り掛かった。

*明確な方針があるわけではないが、記事においては「椅子」と「チェア」をなんとなく使い分けています
*すべての図はクリックすると拡大表示します
*製作工程において拡大表示したほうがわかりやすい写真は(クリックで拡大)設定しています

 

構想

デスク作業で利用する椅子なのでリクライニング機構は不要かもしれないが、時には背もたれを倒してビデオを見たり休憩したりしたいため、リクライニング機構は今回も必須。また、狭小スペースでの利用のため、肘掛けが常に上側にあると椅子に回り込むときに(座る・立つの動作時に)肘掛けが邪魔になってしまうことから、肘掛けを座面の位置まで動かすことができるような構成で検討した。そもそも、肘掛け無しにしたら・・・、なんて考えてはいけない。私にとって、肘掛けあってこそのデスクチェアなのだ。

今回もいろいろな案が浮かんでは決め手に欠けるの繰り返しで、図面にしてようやく13枚目の段階で設計を確定させることができた。すべての検討パターンを掲載できないが、大体の検討過程は下記のような感じで進んだ。

初期のころのデザイン。細かい部分は後から確定させるとして、まず、背もたれのリクライニングをどうやって実現するのかが悩ましい。(1)は背もたれを倒した時の強度が心配、(2)は過去製作バージョンと似ているが、肘掛け問題を解消できず。(3)も椅子の後ろ側へのはみだし部分の課題を解決できていない。(4)も(1)と同様に強度的な心配が残る。
(5)と(6)は赤丸部分を支点にして背もたれがスライドし、座面も連動してスライドするという機構を考えた。背もたれが椅子本体の後ろから飛び出す範囲を狭くでき、全体のバランス・強度を確保できそう。リクライニング方法としてはこの案もありかなと考えたが、肘掛けをどうやって組み込むかが難しく、図のように青矢印部分が固定されてしまうため、肘掛けを座面の高さまで下げられない。
背もたれと座面の連動機構を引き継ぎ、(7)は(5)から背もたれの固定の仕方を赤丸の支点部分に乗せるような形に変更した。しかし、肘掛けの一部となっている青矢印部分がこの位置に固定されてしまう問題を解消できない。(8-1)のように黄色のバーを椅子本体に追加することで肘掛けの上下動を実現できそうだが、デザインがいまいち。(8-2)のように椅子本体の後ろ側に肘掛けの位置調節を組み込んだが、肘掛けの支柱がセンターにないため肘掛け自体の強度確保が難しそう。
(8-1)でいいところまで来たため、(9)のように椅子本体の一部分を幅広にすることで、座った時の強度を確保しながら、肘掛けの上下調節を組み込んでみた。これでもよいかなとは思ったのだが、背もたれを倒した時に肘掛けの位置は前後調節ができないため、なんとなく快適性が損なわれそうな気がした。そこで(10)の青矢印のように肘掛けの支柱部分も幅広にして上下スライドのためのレールを斜め方向に加工する案を考えて。赤矢印のように斜めに上下動できるため、背もたれとある程度連動して肘掛けの前後位置を調節できそうと考えた。
椅子本体の軽量化が課題だったこともあり(10)をベースにさらに検討を進め、(11)のようにすべてのパーツをスリム化した。(11-1)は背もたれを最も立てた状態で肘掛けも一番上の状態。この位置だと、デスク天板と肘掛けの高さがそろうため、キーボード入力などが快適に行える。(11-2)はリクライニング最大の状態。肘掛けを自分の好みの高さに調節できる。(11-3)は肘掛けを一番下げた状態。椅子に回り込むときに肘掛けを気にしなくてよい。

(11)案で構想が固まったため、組み接ぎの詳細や加工時の考慮事項(ここは貫通させる/させないなど)、利用する部品(木材以外もあるため)なども含めた詳細設計を進める。

ついに設計完了!

2020年の9月に最初の図面を起こしてから設計が確定したのが2021年12月。今回も1年以上かかって設計が完了した。他の記事にも記載している通り、2020年から2021年中盤にかけては仕事がとんでもなく忙しく、設計ファイルのタイムスタンプを確認すると2021年の12月に設計がいったん止まり、2021年の10月から設計検討を再開している。2020-21シーズンの業務の激しさを物語っている。2021年10月に設計再開してから12月までの3か月間で一気に仕上げた感じだ。ま、一気にといっても3か月もかかっているのだが、、、。

こちらが最終版の図面。座面のスライド機構は複数枚の板や丸棒が連動して動く複雑な構成となっているため、入念に位置取りを確認。肘掛けは「カムレバー」を使いワンタッチで固定と解除ができるようにした。キャスターは過去にも利用した沈み込み式のバネ圧キャスターを採用。組み接ぎやスライド部分のレール加工などちょっと手の込んだ加工が多くなってしまうが、デザインと強度の両立のためには避けられない。
これまでの説明には掲載されていなかったが、このように椅子の幅もセットで考えながら設計していた。秘密基地の幅が775mmのため、椅子の横幅も可能な限り小さく設計し、肘掛け部分を含めても520mmとした。実際に自分が別の椅子に座った状態で腰回りの幅などを実測し、座面の幅420mmというサイズを導出している。

製作工程

製作物はそんなに大きなものではないのだが、結構複雑な構成となっているため加工は少しづつ進んだ。メインとなる工具としては、ボール盤とフォスナービット、トリマーと治具、クランプをとっかえひっかえしながら、すべて手作業で進める。

木材は、組み接ぎや可動部分が多くなることから強度を考慮しハードウッドのホワイトアッシュ無垢材を採用。タモ無垢材よりは多少コストを下げられる。ホワイトアッシュはこれまでも何度か利用したが、木目がはっきりしていて個人的には気にっている樹種だ。ハードウッドなだけにトリマーで加工するときは、トリマーがぶれないように歯を食いしばっての作業となる。では、完成まで一気に写真とともに説明。

座面のスライド機構の部品として24mm径のタモ丸棒を利用するところがあるが、24mmのフォスナービットを持っていない。22や26mmはあるのだが。サイズ調整可能なざぐりカッターは持っているため、24mmの丸棒がぴったりとはまるように、ざぐりカッターの刃径サイズ調整から始めた。
椅子本体側で座面のスライド機構を実現する部分の加工。左側の丸穴は椅子フロント側になる部分で、これが24mm径。右側のレールのようになる部分は21mm径のザグリカッターで貫通しないように加工する。写真上側の部品だけは両端の2か所、椅子本体完成後に丸棒を挿入する穴(赤丸部分)を貫通させている。この貫通穴で組み立て式のチェアを実現できる。詳細は後ほど。
トリマーとストレート治具を使ってこのようにレール形状に加工する。
こちらは、スライドする座面側の部品。先ほどと同じようにボール盤を使って多数の穴を空けた後・・・。
トリマーと治具を使ってこのように平滑に加工する。板厚が30mmありトリマーで一度に削ることができないため、3,4mm程度ずつ、トリマーの刃を伸ばしながら地道に加工する。この部品の右側の丸穴はどちらとも貫通させている。
片側の部品を並べてみた。どうやってスライドさせるかというと・・・。
上側がリクライニング前の状態。下側がリクライニング最大の状態。青枠の丸棒(24mm)は椅子本体に固定されるため動かない。写真にはないのだが、赤丸部分に挿入した丸棒(20mm)がレール状の溝に沿って動くことで座面のスライドを実現する。この時、赤丸部分の丸棒は背もたれも連動して動かすことになるためリクライニングできるというわけだ。
スライド機構が問題ないことを確認できたので、椅子本体部分の組み接ぎ加工を行う。丸鋸で適当に切込みを入れた後、ノミでさらい表面を整える。
同様の作業を繰り返し、パーツが徐々にできあがっていく。この後、仮組みして追加のホゾ加工位置などを確認する。
青枠部分の組み接ぎだけ加工しておき、スコヤを使って直角を意識しながら仮組みする。仮組みなのでボンドは使わない。設計図通りに300mm間隔で位置取りを確認しながら、赤矢印部分のほぞ穴の墨線付けを行う。
現物調整でホゾ組の加工が完了。
特に下のほうは左右同じパーツなにホゾ加工が異なっているが、ホゾの凸側と現物調整しながらの可能なので組み立て後は問題が生じないようになっている。
椅子本体の前側のほうは斜めに支柱を差し込んでいるため、ホゾ組も斜めで加工しなければならない。治具がずれないようにしっかりクランプで固定して加工する。
設計では、赤矢印の間隔は300mmとしているため、クランプで300mmになるように微調整しつつ、青丸部分のホゾの凹側を加工するための墨線付けを行う。
椅子本体の組み接ぎ加工が完了。仮組みで進めていたためこのように分解できる。
ホゾ加工がわかるように向きを変えたショット。座ったときに椅子が倒壊しないように、ホゾの凸部はある程度長めにしている。
直角を確保しながら木工用ボンドで接合。左右同じ形をしている部品であることから、左右を重ね合わせて同じ位置合わせで固定することがポイント。個別にやってしまうと左右で微妙なずれが生じるためだ。ずれてしまうときは左右一緒にずれてもらう。クランプで固定して一晩寝かす!(クリックで拡大)
木工用ボンドでの接合が完了。
直角を確保しながらの加工・作業してきたものの、微妙な隙間が(矢印部分)。素人木工なのでしょうがないかもだが・・・。
このわずかな0.数mmの隙間を同色(近い色)のパテで埋める。余計なところにパテが付着してしまうと、塗装後の光沢の違いが目立ってしまうためマスキングが必須。
接合部分をぐるりと丁寧にマスキングする。
一部わかりづらいところがあるが、4か所の接合部分をマスキング。
へらを使いながら木工用パテをわずかな隙間(矢印)に埋め込む。丁寧に隙間が残らないように作業する。
完全に乾ききるまで放置
マスキングテープをはがすと、ごらんのとおり、0.数mmのわずかな隙間が目立たなくなっている。よく見れば、パテのラインがわかるのだがぱっと見では気づかない。
次に、背もたれ部分の加工。椅子座面と結合させる部分。角が半円になるように加工し、丸棒で座面と接合する部分の円を空ける。
座面の可動角度に合わせて墨線付け。その後、下側のようにザグリカッターとトリマーを使って加工する。ザグリカッターの形状の関係で、外刃の部分で円ができてしまっている。狙ったわけではないのだが。
背もたれのパーツと位置合わせ確認してみた。上は背もたれを立てたときで、下側がリクライニング最大時。背もたれ側のパーツが座面側のパーツからはみ出していないかも確認する。
椅子本体と座面、背もたれの骨格部分の加工が完了したため、ここで再び仮組み。あくまでも仮組みである・・・。
先ほど仮組みを強調したのは、座面の板を現物合わせしてホゾの墨付けを行うためである(赤枠部分)。設計図どおりに加工したとしても0.5mm程度狂ってしまい、組み立て時にうまくいかないことがあるため、現物調整・確認を行いながら加工を進めている。椅子本体の内寸が420mmになるようにクランプ圧を調整する。
このように、現物調整・確認しながら加工する部分は多い。
椅子本体の骨格部分の加工が完了。やりお直しが利かないため、相当慎重に作業した。椅子底面で目に見えない部分は強度を確保するために木ネジで固定した後、丸棒で成形している。
先ほどの仮組み時の現物調整の結果、仕上がった座面の板たち。この順番(位置関係)も守って組み立てる。
座面の板位置取りを確認・墨線付けし、ボール盤+ドリルビットで大まかに穴あけを行った後、トリマーを使ってホゾ穴にする。トリマービットの関係でほぞ穴のすみっこが丸く残ってしまうため、ノミで仕上げる。
座面の板をはめ込む骨格?の加工が完了。座面は3度の傾斜をつけている。
ボンドでの接合前に位置合わせを確認。問題なさそうだ。
座面を木工用ボンドで接合。クランプでガチガチに挟み込めばいいというものではなくて、設計の420mm幅になるように意識しながらクランプ圧を調整する。
背もたれの加工。残念なことに、1か所のみ、ホゾ加工するときにトリマーがぶれてしまって削りすぎが発生。その修正を行うのだが一か所だけ修正が目立ってしまう。いっそのことすべてのパーツを同様に装飾加工することで、修正ではなく意図したアクセント加工になると考え、すべてのパーツに異なる樹種を接合させた。
加工前と加工後。異なる樹種を埋め込み、最初からこのようなデザインのような背もたれにできた。
背もたれのパーツ加工が完了。ブビンガ、ローズウッド、コクタンなどの端材を埋め込んでいる。
座面のときと同様に、背もたれの板を現物合わせしながらホゾ加工の位置取りを行い、ドリルビット/トリマーでホゾ加工を行う。背もたれ板の取付は、人の背中寄りへ少しオフセットさせている。
ひじ掛け部分の加工。上2枚が手を乗せる部分で、下の2枚が支柱部分。6.5mmの溝がレールの機能を果たす。
肘掛けを仮組み。左右対称に加工できておりいい感じだ。支柱の一番下側は現物合わせして、斜めにカットする。
椅子が重たい感じにならないように、角を斜めに加工。ボーズ面ビットで全体の角を面取り。
加工が完了した椅子のパーツたち。一番右側のみボンドでの接合を行っている状態。その他は、塗装後に接合する。(クリックで拡大)
天気の良い日を狙って塗装。いつものようにオスモカラーノーマルクリアを二度塗り。塗装が乾かないうちに、ウエス(着なくなったポリエステルのTシャツなどがベスト)でふき取った後に、240番のサンドペーパーで軽く磨いて毛羽立ちを取り除く。椅子の部品に紛れてサメがデザインされたペンケースが・・・。
日陰で乾くまで乾燥させる。さすがに夜間ずっと外に出しておくわけにはいかないので、夕暮れとともに屋内にしまって、翌日以降、組み立て作業に移る。
椅子本体に必要な最小限のパーツで位置決めを行い、椅子本体を組み立てる。木工用ボンドで接合。この時も横幅などの間隔を確認しながらクランプで固定する。
座面のスライドがスムーズに動くことも確認しておく。
椅子本体を後ろから見た様子。
肘掛け部分も木工用ボンドで接合。支柱のエッジ(下側)も斜めにカット済み。
座面のパーツは椅子本体から取り外せるため、このように座面部分のみで接合。木工用ボンドのみ利用。ねじれが発生しないように、作業台ともクランピング。
座面側の接合が完了した後、背もたれ部分を接合する。座面と連動する部品のため、丸棒で仮組した状態でクランプで締め付ける。締めすぎない、緩みすぎないがポイント。
椅子本体の赤矢印部分に鬼目ナットを埋め込む。この上下2か所の鬼目ナットとコネクタボルト/カムレバーが組み合わさることで、青矢印のように肘掛けを上下動させることができる。詳細は後ほど。(クリックで拡大)

組み立て -完成へ-

各パーツの加工が完了したため、最終の組み立て工程へ移る。2022年の正月休みに加工着手し、3月後半にようやくここまでたどり着いた。

椅子本体の骨格部分。赤矢印の方向から丸棒を挿入することで、座面・背もたれを組み込むことができる。逆にこの丸棒を外すことで、この状態まで分解できる。手前側は貫通していないことがわかると思う。一番上に位置する丸棒は椅子に固定してもよかったのだが、背もたれと重なり合っているうちに丸棒が削れる恐れもあったため、部品交換が可能となるように固定しなかった。
椅子本体部分を前後・左右から。
椅子底面にはバネ圧自在キャスターを取り付け。椅子に荷重がかかると、キャスターが沈み込んで動かなくなる。
座面部分の前後・左右。背もたれと接合する部分の加工は気を使った。
座面裏側。参考までに。
前述のとおり座面には3度の傾斜をつけた。利用時の快適性を考慮すると、本当はもう少し傾斜(5度ぐらいか)をつけたいところではあるが、下に組み込まれているスライド機構との兼ね合いでこれ以上の傾斜は難しい。
背もたれ。赤枠は、1枚の加工ミスをカバーするために全ての板にアクセントととして別の樹種を埋め込み加工した部分。また、赤矢印のように板のセンターライン上ではなく、前より側(背中に近いほう)にオフセットしている。(クリックで拡大)
肘掛け。上側をカムレバーのボルトで、下側をコネクタボルトで支えることで肘掛けを上下動(スライド)させることができる。矢印のような5mm程度の板を挟み込む構成にすることで、肘掛け支柱とボルトとの遊びを調整している。
椅子の各パーツを接合する丸棒。上から、20mm径/24mm径/24mm径の3つを利用。
座面と背もたれを組み立てる。(1)の穴に20mmの丸棒を差し込んだ後、数mm前方へスライドさせると、(2)の位置に24mmの丸棒を挿入できるようになる。赤枠内、よく見ると丸棒の位置がずれている様子がわかると思うが、このずれによって(2)の丸棒を引き抜かないと椅子が分解できないようになっている。(クリックで拡大)
白線枠の部分にカムレバー等の部品一式を取り付ける。カムレバーによって、右側のように肘掛け位置を自由な位置に固定できる。
カムレバーでの肘掛け高さ調節部分を拡大。左側がロック状態。カムが板の部分に圧力をかけることで、肘掛けが固定される。右側がアンロック状態。レバーを引き上げると、カムが赤矢印の位置になるため板に圧力がかからなくなって肘掛けをフリーにできる。下のコネクタボルトはきつすぎず/緩すぎずで固定している。
正面から見た様子。肘掛けは左右自由な位置で固定できる。普段は片側だけ上の位置に固定しておいて、狭小スペースで移動しやすいように反対側だけ一番下に下げておく、といった使い方ができる。
リクライニングの様子。左は一番立てた状態。右はリクライニング最大時。この範囲内であれば、自由に角度を調整できる。はずだったのだが・・・(これが冒頭の「想定外」を意味する)。続きは最後に。(クリックで拡大)
最後に、もう一度、構造を振り返り。背もたれは、白矢印の丸棒に乗っかっているだけ。座面は矢印範囲でスライドして、背もたれも連動して角度が変わる。白枠内で肘掛けは上下動・位置合わせが可能。赤枠内3か所の丸棒を引き抜くことができ、分解、パーツ交換や修正ができる。(クリックで拡大)

秘密基地へ搬入

内窓を経由すれば組み上がった状態でも搬入できなくはないのだが、クレーンが設置されており空間的にも非常に危険なため、いったん分解して搬入した。秘密基地の手すりやデスクがすべて木材で構成されているため、やはり木製の椅子は雰囲気を壊すことなくフィッティングもばっちりだ。

デスク下には巨大なATXのゲーミングPCが設置されているため狭くなっているが、椅子を手前に引けば不自由なく着座でき、肘掛けも動かすことができる。肘掛け最上位時には、デスク天板と高さが一致する。
秘密基地の手すり、デスク、クレーン滑車(これは必需品ではないが)とようやくここまで来れた。この場所にオフィスチェアはふさわしくないよね。
改めて組み立て後のアップ。フロント側の丸棒を引き抜かないと、リア側の丸棒は外れない。木目も美しい。
まさに工芸品のような出来栄えだ!と言ったら大げさか・・・。

製作費用

最後にトータルコストを確認する。オール無垢材のため、木材だけでも結構な値段になってしまった。また、今回初めて利用したカムレバーもコスト押し上げ要因になっている。カムレバーは、これ以外にももっと安いものはあるのだが、色や形などが満足できず、変なところでケチって後悔するよりは、自分が気に入ったものを使ったほうが、ということでコストが積み重なっていくといういつものパターンを繰り返してしまい、、、。

材料 用途 数量 価格(円) 購入方法 コメント
ホワイトアッシュ
無垢材
椅子本体・座面・背もたれ等 一式 26,740 マルトクショップ 送料2,200円を含む
タモ、ホワイトアッシュ
丸棒
椅子可動部分 一式 1,000 ホームセンタ等 正確な金額を残し忘れてしまった、、、
イマオコーポレーション
QLCL-06X40-NP
カムレバー オネジ
肘掛け高さ調節 2 6,820 ヨドバシドットコム  
自在バネ圧キャスター 椅子本体に取り付けるキャスター 4 2,346 モノタロウ 送料500円を含む
    合計 36,906    

塗料などは消耗品扱いとして上記価格には含めていないが、いやー、結構いったなー。無垢材を利用すると高コストになることはわかっていたため、コンパクトにスリムに設計・製作を心掛けたのだが。参考までに、浜本工芸で無垢材の学習デスクチェアがどの程度するかというと。

うちの子供達も愛用している浜本工芸のデスクチェア。購入してから10年以上経過しているため、今では同型品は販売されていないが、サイトを見ると36,000円から52,000円ぐらいがボリュームゾーンのようだ。

長男、長女も浜本工芸のデスクチェアを購入したのだが、確か当時は1脚4万円弱ぐらいだった記憶がある。同じ製品が現在は販売されていないため参考として上記を掲載したのだが、いい材料を利用しているものはそれなりの価格になるものだ。出来栄えもよかったしデザインも悪くないリクライニングチェアが完成したので、今回は満足ということで。

実は続きが・・・

使ってみてすぐに「あ、これは良くないな」と感じたのだが、座って背もたれに寄りかかっているだけなのに座面が前方へスライドしてしまうのだ。机に向かって物書きするときのように背もたれに荷重がかからないときは問題ないのだが、背もたれ・後ろ方向に荷重がかかると座面が前方へスライドする。木の摩擦によって意図しないスライドは発生しないと想定して設計していたのだが、こんなに簡単に動いてしまうとは。

背もたれに荷重をかけると、座面が赤矢印の方向(前方)へスライドしてしまう。木材どうしの摩擦で動くことはないと考えていたのだが。とりあえず、ベルトで固定しているが、座った状態で自由にリクライニングできない。しかも、都度調整が面倒なので、リクライニング自体を利用していない状況になってしまっている。

座面が特定の位置でロックする機構を持たせていなかったため今更どうしようもないのだが、このままだと実用に耐えかねるため、ベルトを使って不用意にスライドしないように固定している。ただ、この状態だと自由にリクライニングさせることができず、都度ベルトでスライド量を調節しないといけない。これは不便。

固定するための仕組みを追加で加工するか、分解できる利点を生かして一部のパーツを作り変えるかを考えなければならない。このような動きをするとは想定外だった・・・。この点だけが残念な結果となった。

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