ロフトの柵&組み込みデスクの製作 -その2- (2018年4月)

ロフトの柵&組み込みデスクの製作 -その2- (2018年4月)

面白い構造のデスクができました

ロフトの柵とセットでデスクのデザインも考えていたこともあり、この場所でしか使えないデスクが完成した。完全に他の場所では利用できないデスクだ。約90cmのロフト幅を有効活用したデスクの製作過程をまとめた。

設計

ロフトの柵製作ページで掲載済ではあるが、改めてデスクの設計図を。

ロフト柵をデスクの脚としても活用した設計。デスクのことも考慮して柵を設計した(画像クリックで拡大)

材料は柵とセットでマルトクショップから購入した。コストを抑えるためデスクの材料にはゴム集成材を利用した。ゴムの木もハードウッドと同様、非常に硬くて加工に苦労する。ただ、この硬さが仕上がり後の剛性感や高級感につながっているような気がして、個人的には良く利用する樹種の一つとなっている。

製作工程

木材をカットする工程の写真がないのだが、組み立てる直前の段階まで仕上げた部品は以下の通りとなる。

デスクの右側部分。天板下に潜り込むとこの面が見えることになる。デスクの下側を棚として利用できるように設計。上段は棚ダボでの可動式、下段はロフトの梁の位置に合わせた固定式の2段棚構成となる。棚ダボはムラコシオンラインから購入。
ひっくり返した様子。普段使っている限りでは見えない面。巾木と重なる部分(矢印)を加工している。
デスクの左側部分。天板下側で見える面。デスク天板自体はロフトの柵が支えてくれるため、デスクの脚ではなく棚の側板として機能する。右側と同じ高さ関係となるため、上段はニッケルダボを利用した可動式の棚、下段はロフト梁の位置に合わせた固定棚となる。
ひっくり返した様子。この面がリビングからは見える。
デスク下の棚板。2段構成。脚をぶつけても痛くないように、棚板の手間下側をトリマーで斜めに加工した。
上段の棚板を反転させてみた。棚ダボと重なる部分を加工。この位置に棚ダボが入り込むことによって棚板が前後に動くことを防ぐ。下段はジョイントコネクタで固定されるためこのような加工は行っていない。
引き出しのスライドレールを取り付けるパーツ3点。下から順に、左側/センター/右側で天板下部に取り付ける。取り付けはジョイントコネクタを利用。
それぞれ反転させた様子。真ん中と奥の2か所のコネクタ取付位置が楕円状になっているのは、木材の伸縮により天板が割れたりすることを防ぐため。この余裕がないと、集成材や接合材が実際に割れた経験もあるため、手抜かりなくやっておく。
天板の上面。サイズは、幅870mm、奥行600mm。机としての機能性を考慮すると、奥行600mm程度は必要だと思う。ただ、幅は設置環境の制約からこれ以上、広くできない・・・。
天板裏面。9か所加工してある穴に、引き出しのスライドレール取付部材を固定するための鬼目ナットを埋め込む。
天板奥の左側。赤枠部分が柵と接することで、天板が左側に動いて、リビングへ落下するようなことを防ぐ。青矢印部分は、ケーブルホール。
右側にもケーブルホールを加工。
天板の手前側。上面のみ、R=3mmで面取り加工。
引き出し。この部材は近所のホームセンターで入手できるものを採用。四辺の板はパイン材(厚さ14mm)、底板はMDF(厚さ4mm)。設計上、45mm程度の深さとなる。この段階で接合してしまうと、最後に前板を取り付けるときに苦労するため仮組状態でやめておく。
仮組して並べてみた。奥行きは同じ。上段の幅が狭いほうが左側、下段の広いほうが右側の引き出しとなる。なぜ、左右幅をそろえなかったのか?、、、なんとなくだ。
蟻組加工の拡大図。あまりきれいではないけれど、見えない部分なので良しとする。

塗装

柵と同様、オスモカラーのノーマルクリアを利用した。特に色に対するこだわりがなければ、これが一番のような気がしている。

部品点数が多くて塗装・乾燥とも大変だった。

組み立て(その1)

ロフトで組み立てる前にできる範囲の作業は別の場所でやっておく。

引き出しの組み立て。幅は左右異なるが、奥行は同じサイズのため、このように2つセットでクランプ固定し一晩ぐらい維持する。手前側だけボンド+木ネジで固定しており、この段階では背面側の板(向板)は取り付けないようにする。
ボンドで固定された後、それぞれスライドレールの可動レールを取り付けておく。繰り返しになるが、奥側の板(向板)は取り付けていない。
引き出しを支える板にスライドレールを取り付け。このような位置関係で天板直下に取り付ける。スライドレールは450mm、フルオープンタイプだ。
こちはらひっくり返した様子。ジョイントコネクタは少し引っ込む形で取り付けられる。
天板の奥側には2つ鬼目ナットを埋め込んでいる。これは、引き出しの奥のほうに、ACアダプタやその他の小物を置けるような棚板を設置するためのものだ。詳細は後述。
天板裏面に合計9か所、鬼目ナットを埋め込んでおく(矢印)。

組み立て(その2)

ここから先はロフトでの組み立てとなる。

奥にコンセントが見えるが、ちょうどこの位置にロフトのデスクを組み立てていくことになる。
ちなみに、反対側がロフトへの入り口となっており、ミニドアの開口部はわずか33cmほど。壁内に構造材(柱)があるため、これ以上の開口を設けることができないのだ。家の設計段階には予定されていなかったことがわかっていただけるかと思う。ここに出入りできるように、スリムな体系を維持しなければいけない!
組み立て開始。デスク脚の右側と棚板(下段)をジョイントコネクタで固定(矢印2か所)
左側(反対側)もジョイントコネクタで固定(2か所)。この左側の脚は天板を支えるためではなく、棚としての機能のために存在する。
組み立てた部材を目的の場所へ設置。左側は梁の上に乗っている。また、左右とも大きな隙間もなくジャストサイズだ。
上段側の棚板を設置。
上段側の棚板は棚ダボで高さを調節できる。下段は固定。
天板を乗せる。ぴったりだ。天板は乗せているだけで、前後にスライドできる。
引き出しを取り付けるレール部材を天板裏面に固定する(矢印3か所)。左の赤矢印部分のパーツは天板が左側(リビング側)へずれ動かない役割も果たしている。
引き出しを「仮」取付し、動きを確認する。まだ仕上げの前板は付けられていない。
上から見た様子。まだ完成ではないが、いい感じだ。
天板はスライド可能で、このように壁から離して配線を整理したり、掃除したりできる。天板下の棚板は、矢印のように壁から15mm程度のスペースが生じるように棚板を設計している。
上記のスペースのおかげで配線が棚板の奥から出てこないようにできる。ぶらりとぶら下げておく感じだ。棚板に書籍等収納すると、配線自体が見えなくなる。
引き出しの前板を最後に取り付ける。厚さ2mmの定規をあてながらスペースを現物調整して位置取りを行う。取付位置が決まったらクランプで固定する。
引き出しの底板があるのに、なぜクランプで固定が可能か?それは、引き出しの奥側の板(向板)をこの段階では固定していないため、底板をスライドさせることができるのだ。この方法で引き出しはいつも製作している。かなり精度よく引き出し周辺のスペースを確保できるので、おすすめの方法だ。(両面テープを使うという方法もあるのだが・・・)
引き出し完成後に(矢印の板は固定済)、白枠内にある幅の狭い棚板をジョイントコネクタで取り付ける。引き出しとは干渉しないような設計となっていて、この棚板上にACアダプタや電源タップなどの小物を設置できる。
こんな感じで仕上がった。引き出しの木目も連続性があって非常にきれいだ。
左右、幅の異なる引き出し。動きもスムーズだ。
写真ではわかりにくいがデスクマットを天板サイズに合わせてカットして設置した。
ケーブルホール。天板はロフト柵とこのように接しており左右方向には動かない。

完成後の全景!

すでに完成後の様子がわかってしまっているが、ロフト全体に占める大きさや位置を改めて確認。

ロフト奥にこのように設置。特に、デスク左側には脚がほぼ存在しない構造となっているため、リビングへの採光などでも効果を発揮しており、重たい感じもなくすことができている。
内窓(斜め上)から見た様子。スペースも狭く、デスク自体も小型なのだが、とてもいい感じに仕上がったのではないか。

製作費用

引き出しに利用したパイン集成材やMDFなどの費用が残せていないのだが、主な部材となった天板、脚部分の木材を中心にまとめてみた。すべてマルトクショップ(通販)での購入だ。送料はロフト柵のほうに含めた。

材料用途数量価格(合計)購入方法コメント
ゴム集成材デスク天板14,200マルトクショップ870*600*25mm
ゴム集成材脚(右)11,100マルトクショップ645*200*25mm
ゴム集成材脚(左)1800マルトクショップ470*200*25mm
ゴム集成材脚(右側の部品)31,080マルトクショップ3つともサイズは異なるが合計を表示
ゴム集成材引き出しレール取付31,080マルトクショップ3つともサイズは異なるが合計を表示
ゴム集成材棚板(上)11,300マルトクショップ755*180*20mm
ゴム集成材棚板(下)11,320マルトクショップ765*180*20mm
ホワイトアッシュ無垢材引き出し前板(化粧板)1750マルトクショップ850*60*20mmを加工
合計11,630

引き出しのパイン集成材やMDF材がおそらく1500円から2000円ぐらいはかかっているはずなので、総額でも15000円以内で製作できているのではと思う。家が存在する限り、ずっとこの場所で使い続けていくことになるものであるため、コストとしても十分納得のいく範囲ではないかと思う。逆に無垢材のわりには安く抑えることができたかもしれない。見た目も機能性も満足のいくものが仕上がったと思う。

で、椅子はどうするのか? 秘密(じゃない)基地なので、長居することも想定すると、座り心地のよいある程度のサイズ感のある椅子が欲しいところ。既製品だとこの極小スペースをデカデカと占めてしまうことになるため、このスペースにあった椅子を作りたいと考え始めているところだ。

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