学習机シリーズ第3弾 ブックスタンド(2012年5月)

学習机シリーズ第3弾 ブックスタンド(2012年5月)

「ブックスタンドがほしい」

 学習机、多機能ラック、ワゴンユニット(今後製作予定)の3点ははじめから製作する予定だったが、ブックスタンドは学習机シリーズのプランに入っていなかった。学習机の上がごちゃごちゃしてしまうし、すぐそばにラックがあればブックスタンドのようなものは必要ないだろうと考えていた。
 学習机が完成してから子供が使っているうちに、机上にいろんなモノが並び始めるようになる。「机の上にも棚がほしい~」という声がいろんなところから(実際にはうちの女性陣二人からなのだが)聞こえるようになり、当初のプランにはなかったブックスダンドを製作することとなった。

基本構想

 机の上はシンプルな構成にしたいという自分の勝手な思いもあり、なるべく強く主張?することのないブックスタンドを考えた。

  • 机の上がごちゃごちゃしないように、ブックスタンド全体があまり高くなり過ぎない数値を探る。
  • 引出しを付けてあげる。引出しの位置が上になりすぎると、身長が低いときに出し入れが大変になるので、適度な位置に付ける。
  • 棚板の奥行きがありすぎると、机上が暗くなったり狭く感じるようになるため、棚板の機能とのバランスを考慮する。
  • 棚板と机上との間が狭すぎると、机の上自体が有効に使えなくなるため、実際に机上に設置されるものを考えた棚板の高さにする。
  • 机と同様、組み立て式にする

 こんなことを考えながら、高さや奥行きなどの最適な数値を詳細設計を行いながら探っていく。

詳細設計

 いきなり完成後の写真となるが、この図中のコメントにあるようなことを考えながら詳細設計図としてまとめている。

 机上にはデスクライトが設置されているため、このライトのアームと干渉しないようにしたり、ペン立てが綺麗に収納できるように学習机上でメジャーを伸ばしつつ、頭の中で完成後の様子を想像しながら設計する。簡単な構造なのに数値を決めるまでに意外と時間がかかってしまった。(詳細設計図はクリックで拡大表示されます)

材料を調達する

 今回も木材はマルトクショップのネット通販で購入した。机の上に設置するブックスタンドなので、常に目にはいるものになる。そのため、少しは高級感がほしい、というより安っぽく見えないようにするために、引出しの部材以外はすべてタモの無垢板を利用した。

側板の加工

ブックスタンドの構造自体は簡単なのだが、側板は縦方向のカットが多いため意外と苦戦した。

いきなり目的の形状にカットできるような工具を持ち合わせていないため、はじめにボール盤を使って穴が連続するようなやり方である程度の形まで加工する。

側板のフロント側を斜めにカットする。ソーガイドを使って位置合わせを行った後、平行にスライドさせながらカットする。縦挽き鋸を持っていないため約40cm以上の長さをカットするのに苦戦する。切断面の仕上がり次第ではルータで面取りすることも考えていたが、意外にも綺麗にカットすることができた。
いきなり目的の形状にカットできるような工具を持ち合わせていないため、はじめにボール盤を使って穴が連続するようなやり方である程度の形まで加工する。
その後、トリマーを使って直線になるように削る。トリマーは切削量がなるべく少なくなるように加工しないと危なくて使えない。その後、直角への加工が必要な部分はノミを使って角を整える。
側板3枚(1枚は真ん中部分)は1枚の向板と接合するため同じ加工精度が必要となる。そのため3枚重ねて仕上げ加工を行う。

仮組みする

 側板、向板、棚板の加工が終了したら仮組みしてみて、寸法が間違っていないか確認する。

加工後の木材を並べた様子。だいたいこの位置関係で組み立てる。
ブックスタンドもジョイントコネクターによる組み立て式になっている。ジョイントコネクターの皿部分が隠れるように2mm程度の穴を加工している。ちなみに、組み立て時に迷わないようにジョイントコネクターはすべて長さ50mmを利用した。
ブックスタンドを仮組みして左側から見たところ。棚板はまだ固定していない。
同様に右側から見たところ。

引出しの加工

 引出しは多機能ラックの時と同じように吊り桟式にした。

引出しの側板部分。吊り桟のサイズに合わせてスライドさせる部分の溝をトリマーで削る。
側板に吊り桟の板をはめてみて、可動具合を確認しておく。吊り桟にはサティーネという茶褐色の端材を利用した。木場のウッドショップもくもくで100円ちょっとで販売されていいる端材を購入。
側板に引き出しの底板をはめるための溝をトリマーで加工する。厚さ4mmの底板だが、4mmのストレートビット1回分の加工では底板がきつくてはまらないため少しずらして2回トリマーを走らせる。
引出は取手とかツマミを付けずにシンプルにしたいため、引き出すときに手を引っ掛ける部分を加工する。前板2枚を重ねてちょうどセンター部分をU溝ビットを使ってトリマーで加工する。今回は前板2枚はまったく同じ長さになっているため位置合わせが楽だった。

ちょっとお遊び

 女の子が欲しがるような可愛らしい学習机に少しでも近づけるために、ちょっとお遊びで”あのマーク”を取り入れることにした。実はあのマーク、よく見ると耳の部分は真円ではなく微妙な楕円になっている。糸鋸があればそれなりに加工できそうなのだが糸鋸を持っていないため、所有している18mmと30mmのフォスナービットを使って試しに廃材にボール盤で穴を開けてみる。何も言わずに子供に見せたら「ミッキーじゃない!」って喜んでいたので、同じ寸法でブックスタンドにも加工した。なんて単純!

耳の部分は18mm、顔の部分は30mmのフォスナービットを利用。顔の部分の上/横の接線の交点上に耳の部分の中心線を合わせた。ミッキーというよりはくまさんみたいだな、、、。
向板の左側中心と左右の側板にミッキーマークを加工する。それなりにミッキーぽく仕上がったことで子供は大喜び。

塗装

 今回もオスモカラーのノーマルクリアーを利用する。塗り方や仕上げの方法は学習机や多機能ラックと同様だ。

学習机、多機能ラックと同じオスモカラー/ノーマルクリアーを利用。

引出しを完成させる

 塗装が終わったところで引出しを組み立てる。

底板をはめる前に前板を皿ネジで3ヶ所、固定する。2枚の前板は同じ長さなので両側に幕板があるときのように中心部を合わせるための苦労がほとんどない。
底板をはめ込んで、最後に向板を木ネジで固定する。

鬼目ナットをねじ込み、組み立てる

 鬼目ナットはすべてM6/25mmを利用した。

側板と棚板に鬼目ナットをねじ込む。

側板と棚板に鬼目ナットをねじ込む。
鬼目ナットをねじ込み組み立てた後、引出しを支える吊り桟を取り付ける。引出しを引っ張りだした時に少し開口部が見やすくなるように、また引出しをはめやすくするために、手前側には少しだけ斜めのカットを施している。吊り桟の取り付け位置は現物調整。

完成!

 完成後の様子。

組立後(完成)の様子。左右の側板と向板の左側にあのマークが。
背面から見た様子。組み立て式にしているため、ジョイントコネクターが多数見えているが、ほとんど壁側に接した使い方になると思われるため、あまり気になることもないだろう。
引出しを少し開けて、右側から見た様子。側板の右側にジョイントコネクターが1つ見える。引出しは完全に取り外すことができるため、背が低い低学年時の時は机上において片付けができる。
右側の棚部分を左側から見た様子。ここにもジョイントコネクターが1つ見える。このジョイントコネクターを外して分解することで、左側の棚板を完全に取り外して利用することもできる。

実際の利用状況

 学習机に設置してみた。当たり前だけど、同じタモ材を使っているだけあって見事な一体感が得られている。机を壁面に接するように設置することが多くなるため、今の時点では学習机との連結は行わずに単純に机上に設置しているだけにしている。もし学習机と固定が必要そうになれば、学習机側板の高さ調節穴を利用して固定する方法を考える予定だ。

学習机上に設置してみた。
正面から見た様子。
引出しを少し開けてみた。

 ちょっと片付いていない感じがするけど(汗)、実際の利用状況の様子。もちろん、ちゃんと実物を測定して設計しているだけあって、きちんとペン立てもブックスタンドの下に収まっている。右側の棚板には教科書を収納できるようにしているが、今は多機能ラックにすべて収納していることもあって、幼稚園の時の記念の写真を飾っているようだ。

製作費用は

 今回の製作費用のまとめ。木ネジ・丸棒などストックから利用したものや塗料・サンドペーパーなど追加で購入した消耗品・工具などは含まない。

材料用途数量価格(合計)購入方法コメント
すべてタモ無垢板引出し以外の部分すべて一式10,840マルトクショップ送料(1,050円)込み
ラジアタパイン集成材引出し11,080ドイト全てを引出しに利用したわけではないが。集成材の価格そのまま掲載
MDFボード引き出しの底板1378ドイト厚さ4mm
サティーネ端材吊り桟用2260もくもく単価130円。サイズは300*23*5mmぐらい
鬼目ナットD-M6×L25可動式棚板用15405ムラコシオンラインショップ単価27円
ジョイントコネクター JCB-A-M6×L50 (六角レンチ,ニッケル)ブックスタンド組み立て用15690ムラコシオンラインショップ単価46円
合計13,653

 引出し以外はすべてタモ無垢材を利用しているが、引き出し付きブックスタンド一式が14,000円以内で購入できると考えるとそれなりのコストパフォーマンスが得られているのではと自己満足。子供も母親も喜んでいたよ。

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