ロフトの柵&組み込みデスクの製作 -その1- (2018年1月)

ロフトの柵&組み込みデスクの製作 -その1- (2018年1月)

後付け感をなるべく排除した柵と極小スペースの有効活用

家の建築中の過程で明らかになったのだが、吹き抜けエリアの壁側に収納が設置されていることで、その収納によって吹き抜けエリアの一部分が吹き抜けではなくなってしまうことが分かった。はっきり言えば、設計時の確認漏れ(設計不具合かもしれない)になるのだが、このままだと中途半端なので、「どうせなら該当部分を埋めてしまってロフトにするのはどうでしょう?」と工務店・施主(私)側とも話が進み、最終的には吹き抜けの3分の1ほどのスペースを使ったロフトを設置した。これが結果オーライで、吹き抜けとしての採光や風通しのよさを確保しつつ、秘密基地のようなスペースも作ることができた。ただ、ロフトの柵は元々の設計にはなかったため、「私が引き渡し後に作りますよ」となり、まずは柵のないロフトが完成した。

さて、柵のデザインに取り掛かるも、かっこよさや強度、狭いスペースを有効活用するためのトータルデザインがなかなか確定できずに、家の完成から数年感、設計ばかりやってやっていた。その他に優先して製作しないといけないものがあったという理由もある。

今回もかなりのパターン数の図面を作成したが、なんだかんだで3年ぐらい悩み続け、2017年末に「これで行こう」と踏ん切りがつき、第一弾としてロフトの柵が完成した。第二弾「ロフトの机」はその2としてまとめる。

ロフトの場所は・・・

写真で見たほうがロフトがどのような位置にあって、どれだけの狭さ!なのかがわかりやすい。

吹き抜けの開口部は約2.6m。この2.6mの空間に大きな梁(A)と(B)が通っており、吹き抜け空間を三分割している。そのうちの(B)からはめ込み窓側の部分がロフトのスペースとなった(青矢印部分)。
別角度から。青矢印の部分に一畳もあるかないかぐらいのスペースがある。この場所への入り口は右側の寝室からつながっており(赤矢印)、ドアの開口部はわずか32cmほど。スリムな体系を維持しておかないとこの場所へは入れない・・・・。
寝室の内窓から見た様子。幅約90cm、奥行約1.7m。まさに畳一畳ないかもぐらい(物が散乱していますが、ご容赦ください)

こんな感じのスペースで秘密基地(丸見えなので秘密にはならないが)としてはもってこいの場所なのだが、柵がない状態ではもちろん危ない。子供だけでなく、自分も落ちてしまいそうだ。建築時に工務店にお願いして柵を作ってもらうというのもあったのだが、もともとの設計には無かったことと、自分がイメージしていないような柵が設置されてしまうことも嫌だったので、この状態で引き渡しとなった。

基本構想・設計

デザインコンセプトは下記の3点。

  • とても狭いスペースなので、この後設置するデスクのことも考えた柵構成とする
  • 柵が高すぎても圧迫感があるし、低すぎると安心感が得られないので、程よい高さで
  • 柵の構成部品(板)が多くなりすぎると、下のリビングへの採光の妨げになるし、リビングから見上げた時に圧迫感を感じてしまうため、なるべく重厚な雰囲気をなくす

縦・横の板のサイズ(幅・厚さ)、高さ、何本構成にするか、縦横の板のはみだし・重なり具合はどれぐらいにするか、本棚やデスク脚等どのような機能を持たせるか、加工何度は高くないか等々、かなりのパターンのデザインを行っては微調整して、を繰り返す日々でなかなか最終案を決断できなかった。

設計図面の一部。ここにはすべてを表示できないが、ファイル数にして61個、微修正による別名保存のファイルも含めることにはなるが、かなりのパターン設計を行っている(画像クリックで拡大)

確定した設計がこちら(下図)。柵の構成部品をなるべく少なくしつつ、取付後の剛性や採光性を確保しつつ、デスクユニットとの親和性などを考慮し続けた結果、シンプルな構成となった。

柵部分の設計図。幅90mm、厚さ40mm(2×4に近いサイズ)の板を組み合わせる。ロフト床面からの高さは955mm。上から2段目の高さを705mmとし、天板厚25mm/奥行600mmの集成材を設置することで高さ730mmのデスクを構成できる。柵の両端は「後からボルトで固定しました」ってのが見えないような取付を考えた。詳細はこの後に(画像クリックで拡大)
柵を利用したデスク部分。デスク右側には脚が必要となるが、左側は柵の2段目を利用している。デスク下に2段構成の本棚を設置。左右幅の違う引き出しも取り付ける(画像クリックで拡大)

材料を調達する

2×4のSPFを使えば低コストで仕上げることができるが、木材が柔らかいことと、ずっと家の中で固定される部分となることから見た目も重視したく、少々値が張るが柵は固い木材であるホワイトアッシュ無垢材を使い、それ以外のデスク部分はコスト優先でゴム集成材を利用することにした。デスクは、引き出しの前板のみ、木目を活かしたいことからホワイトアッシュ無垢材にしている。このような無垢材は近所のホームセンターでは手に入らないため、いつものようにというか今回もというか、マルトクショップさんから通販で購入した。

また、柵が寄りかかったことによって倒れたりすることがないように、壁と固定するところは90mm/M10の全ネジボルトを利用した。ボルト、木ネジなどは近所のホームセンターで購入した。

柵の加工

柵の横板の長さはロフトの壁が梁と正確に90度の構成になっていないため、ダミーの木材を使ってロフトの壁間距離を3か所の取り付け位置に合わせて測定し、長さの確認を行った(家は、どこをとっても壁は90度、床天井は0度(水平)というわけではないので、壁と壁との間隔は1mm、2mm、場合によっては数mm程度の誤差を吸収する必要がある)。縦板は設計書通りにカットで問題ない。ハードウッドの木材は安くはないので、予備を購入する余裕もないことから、失敗が許されない加工が続く。墨付け後も再度図面と照合して、間違いがないことを確認してから加工に着手する。

ほぞ組となる部分は、可能な限り組み合わせ部分の精度を確保できるような加工方法で工夫した。何のことかわかりにくいが、要は大した道具も腕もないため、加工が難しい部分、精度を出すのが難しい部分が隠れて見えないようにするという組み合わせ方法を追求しただけだ。

ボール盤+フォスナービットである程度加工した後、ノミで仕上げたり、トリマーで面取りしたりした。

青矢印部分はトリマーで面取り。赤矢印の部分は縦横が重なる部分のため面取りしない。ここを面取りしてしまうと、くぼみができてしまうためだ。
赤矢印部分に段差のある加工を施すことで、組み合わせ時の強度を確保しつつ、青矢印部分の加工精度が少し低くても表には見えないような仕上がりにすることができる。この段差がない場合は、木材の断面の半分ほどで板を支える必要があるため、なんとなく心配になる。
組み合わせ例1:左右の壁面に接する縦板との組み合わせ
組み合わせ例2:真ん中部分の組み合わせ。組み合わせ部分で、縦板に横板ができる限り面積広くなるように乗せられるような構造になっていることがわかる。
柵の部品を並べてみた。太い白矢印方向が上になる。真ん中は上下逆の状態で撮影していたようだ・・・。ロフトに組み込んでいく前に、事前に仮組して問題がないことを確認する。屋内作業時には、以前製作したサイクロン集塵機が大活躍だ。

いよいよロフト壁面へ取付

後付けの柵となるため、柱が通っている壁にそれなりの強度で固定しないと、とてもではないが危なくて柵にはなりえない。しかし、ボルト止めとなると「後付け感」が出てしまい、元からそこにあったような佇まいを確保できない。強度と見た目を両立したい。これを解決するのか隠しボルトのような固定方法だ。

あらかじめ壁に10mmの穴を空け、全ネジボルトをダブルナットにしてこの穴にねじ込み、最後にナットをはずとアンカーボルトのように壁から飛び出した状態を作ることができる。写真に残すのを忘れてしまっているが、この飛び出したボルトに縦板をかぶせることで、ロフトから寄りかかっても、下にずれ落ちたりしないような強度を確保できる。

取り付ける前にオスモカラーの屋内用ノーマルクリアでワックス仕上げをしている

真ん中は設計図からの抜粋(画像クリックで拡大)。縦板の上中下3か所を柱から飛び出したボルトにかぶせる形で壁に固定する。壁に直径10mm/深さ約60mmの穴を空け(うち、50mm分は120mm角の柱に埋め込まれるため強度も十分)、全ネジボルトをダブルナットにしてねじ込む。そうすると壁からボルトが30mm飛び出したような状態を作ることができる(写真があればわかりやすかったのだが・・・)。矢印部分の合計6か所からボルトが飛び出す。
ひとつ前の写真の矢印部分で飛び出す形で埋め込まれた全ネジボルトは、この写真の矢印部分に隠れる。縦板の下穴は貫通させていないため、板をかぶせることでボルトが見えなくなるような構造にできる。本当はこの板の部分だけ壁紙をはがしたかったのだけれど、将来の壁紙張替え時にも影響はないだろうと剥がさずに決行!(うまく壁紙を切り抜く自信がなかっただけ・・・)
板が壁から離れないように、ほぞの凹部分を利用して木ネジで壁に固定する。もちろん、この木ネジも完成後には見えない。この後、矢印方向にロフト側から横板をはめれば柵の形になっていく。
センター部分も木ネジやボルトが見えないようにするために、鬼目ナット+ハンガーボルトの構成で固定した。縦板をくるくると回していき、きつくなったところで取付位置の前後を合わせる。このやり方によって、縦板の根本付近を斜めからネジ打ちしなくてもよくなる。
こういう状態で取り付けられるのだが、下の梁とはハンガーボルト(矢印部分)でつながっているためずれ動く心配はない。
横板の長さは上段、中断、下段で数mm程度、長さが異なる。上段は加工方法が中段/下段とは異なるため取り違えることはないが、中断、下段は間違えないように取り付けていく。ま、間違っていれば、そもそもはまらないぐらいの精度は出しているつもりだが・・・。

組み上がった後、クランプで固定しながら、木ネジ固定+丸棒での表面加工方法で最終の固定を行う。ボンドだけでの組み込みだと、木材どうしが離れてしまう恐れもあるため、ネジ留めは避けられない。なお、リビング側からは丸棒での面合わせ加工が見えないような位置に取り付けている。

事前にドリルで深さ6,7mm程度の穴を空けて、木ネジで固定した後、丸棒で表面を整える。ロフト側からはこの加工後の面が見えてしまうが、リビング側から見上げた時にはこのような加工状態は見えないように工夫した。

遂に完成

素人が作ったロフトの柵の仕上がりはどんな感じなのか。写真を見ながらご紹介。

リビング側から見上げた様子。写真がちょっと暗い、、、。さほど圧迫感もなく、採光や風通しにも影響はなさそうな感じ。
リビング側から見て左側。後付け感はなさそうですかね。
リビング側から見て右側。左側と同様、もともと設計として考慮されていたような佇まいです。
壁側と固定しているボルトやネジが見えないことから、どうやって取り付けられているの?という感じで、なかなかよさげです。
リビングから見る限りでは木ネジの後も見えないし、面取りもうまく処理できている。縦・横の木材が交わる部分は面取りしてはいけない!
このようにクランプ式のスタンドライトなども取付できる。

製作費用

全ネジボルトや木ネジ、塗料など細かいものはあるが、主なコスト要因としては柵に利用した木材となる。ホワイトアッシュ無垢材がどの程度の費用感なのかをまとめてみた。そのため、塗料やネジなどは含まれていない。

材料用途数量価格(合計)購入方法コメント
ホワイトアッシュ無垢材柵の縦板35,160マルトクショップ(通販)40*90*700mmを加工
ホワイトアッシュ無垢材柵の横板312,870マルトクショップ(通販)40*90*1750mmを加工
送料2,000マルトクショップ(通販)「その2」のデスク部分の材料も含む
合計20,030

送料には、「その2」で記載するデスク関係の木材も含まれているが、1700mmを超える長尺木材が占める割合が多いだろうと想定して、柵にかかる送料として掲載した。

家具のように移動させたり場合によっては廃棄したりすることもなく、この先も家の一部としてずっと残り続けることを考えると、コストとしては許容範囲ではないだろうか。ホワイトアッシュの無垢材はタモやナラなどと同様に非常に硬くて加工には苦労するが、SPF材のように簡単に凹んだり傷ついたりするようなこともなく、色合いもよくかつ高級感もあり、「初めから設計・計画されていたような」満足のいく仕上がりとなった。家族からも好評で、特に妻からは「重たい感じにならなくてよかった」とのこと。

引き続き、「秘密(じゃない)基地のデスクまわり」の製作に取り掛かった。

Woodworkingカテゴリの最新記事