おもちゃの冷蔵庫(2011年01月)

おもちゃの冷蔵庫(2011年01月)

ままごとキッチンがあれば、冷蔵庫も欲しくなる

 IKEAに行ったときに、素晴らしいままごとキッチンを見つけた。おもちゃにしてはデザイン・作りも良くて、上下セットで1万円ちょっとの価格だった。子供も楽しそうに遊んでいる。「パパがままごとキッチン作ってあげるよ」ということにして、しばらく購入せずにいた。だが、自分でままごとキッチンを作るとなると、コンロのツマミや水道の蛇口など細かいパーツの作り込みが大変そう。結局その後、IKEAに行ってままごとキッチンを購入した。
 キッチンがあると、おもちゃの野菜や魚、ドリンク類などを収納する冷蔵庫もあったほうが、よりリアリティがあるなということで、「冷蔵庫をパパが作ってあげるよ」となり、製作することとなった。キッチンは難しいが、冷蔵庫だったら基本的に”箱物”なのでなんとか作れそうかなと思ったわけだ。
 IKEAのままごとキッチンは収納も豊富で半ば「家具」に近い佇まいなので、これに負けないような風格を持った冷蔵庫にしたい。

【記事補足】
※ 以下、製作記になりますが、全般的に写真の写し方/写り方がよくありません。
※ 「ベランダ木工」や「屋内でのブルーシート上での木工」をしながら写真を取っているため、背景、周辺等が綺麗な写真になっていません。
※ 写真の背景に生活感が溢れているものがあります、、、。

【補足記事2】
冬の寒さは如何ともし難く、とてもベランダ木工ができるような気温ではありません。寒さを遮るような工房もないため、室内に少し厚手の丈夫なブルーシートを敷き、その上で木材のカット等、作業を行いました。トリマーの加工においても逆に屋内のほうが上下両隣の住人に与える騒音の影響も少なく、これはこれでありかなと思います。トリマーでの作業は粉塵が多く発生するため、掃除機と同時稼動させながらの作業です。作業終了後はブルーシート上をほうきで軽く掃き、雑巾掛けすることでブルーシートも綺麗にすることができました。もちろん、部屋全体に掃除機もかけます。

基本構想

 自宅で使用中のNational(現パナソニック)製冷蔵庫のミニチュアをイメージして設計にとりかかった。上側に両開きドアの冷蔵スペースを配置し、その中は棚板の高さ調整ができるようにする。下側に野菜室、冷凍室を想定した引き出しを配置する。一番下の引き出しを少し深さのあるものにすることでより冷蔵庫らしく見えるようにした。

現在、自宅で使用中のNationalの冷蔵庫。この冷蔵をギュッとミニチュアにしたものをイメージした。下側の引き出しは3段構成に変更している。

 当初の設計では高さ910mmのラジアタパイン材をベースにしており、冷蔵庫の高さも910mmになるはずだった。実は設計を済ませて木材を購入に行き、実際に910mm高さの木材を見たとき、「思ったよりも高さが低いなぁ」と感じた。長女の身長も110cmを超えたということだったので、であればもう1サイズ大きな1200mmの高さの板で再設計を行ったほうが無駄な”家具”にならないのではないかと考えた。というのも、この冷蔵庫、子供たちが「ままごと遊びしないので、もう要らない」という年齢になったときは自分用の収納ラックに流用できるような構想も兼ねていたからだ。
 再検討の結果、上側に両開きドア、下側に3段の引き出しとして、引き出しの上2つは同じ大きさ、3段目だけ少し深めという冷蔵庫(将来の収納ボックス)として詳細設計をやり直している。

設計

 

それぞれの収納スペースの高さ配分が難しく、設計を何度もやり直した。おもちゃということでもっと小さいサイズのものでも良かったのかもしれないが、おもちゃとしての機能を卒業したときに無駄になることを避けたかったため、将来、何かの収納ラックにでも転用出来るようなサイズでこの大きさに落ち着いた。

 300~400mm程度の幅の広い板を多用することになるため、できるだけ自分の”手作業”でカットする部分を少なくする。幅広の板のカットはホームセンターのカットサービスでほとんど済ませたい。手作業で長い距離をカットすることを避けるような設計にした。電動丸ノコなど直線カットを用意に実現するパワーツールを持っていないため、設計時にはこの考え方にいつも気を配っている。
また、冷蔵庫の製作を考え始めた頃にトリマーを購入しており、今回、初めてトリマー加工を導入することにした。これにより、引き出しの底板や背板などを側板に埋め込む形で、少し家具っぽく取り付けることができるような設計が可能となった。いくつか特徴をまとめると、

  • できるだけ既製サイズのラジアタパイン材で間に合うように設計する。自宅での手作業カットを最少化。
  • 引き出しの奥も使いやすいように、フルオープンの3段引きスライドレールを利用する。
  • 扉や引き出しには取っ手をつけて、冷蔵庫っぽくする。
  • 上側の収納(冷蔵を想定)部分には、ニッケルダボを利用して棚板を可動式にする。
  • 下側の引き出し式収納は3段構成とする。上側2つは同じサイズで、一番下を少し深さのあるものにする。
  • 本体下側の、引き出しが格納される部分については、背板をあえて取り付けない。350mm幅のパイン材と350mm長のスライドレールを最大限活用するため。
  • 本体上中下に位置する3枚の横板は、側板に2mm程度の溝切りを作りはめ込む方式とする。

 引き出し部分の隙間やスライドレール・取っ手の取り付け等々、ミリ単位での精度が必要になる部分が多くあるため、設計図にも寸法取りの注釈をたくさん記入している。最終的には現物調整を多用することになるのだが、、、。

材料を調達する

 冷蔵庫の外枠部分と正面部分、そして引き出しの外枠部分には14mm厚のラジアタパイン材を利用する。同じパイン材でも接着の方法で一枚板のように見えるものと、明らかに「小さい板をくっつけています!」のように見えるものがある。ドイトで販売されているラジアタパイン材はその「いかにも合板です」という感じがしなくて木材の見た目が美しい。そのため、「パイン材はドイトで」と決めている。過去の製作物でもパイン材を利用するものはドイトで購入したものがほとんどだ。
 引き出しに取り付けるフルオープンの3段引きスライドレールはネット通販で購入した。1セット(左右)で500円程度であり思ったよりもリーズナブル。本当は取り付け時に少々余裕を確保できるアトムの底付け式のものを利用したいのだが、1セット4000円近くもするので断念。スライドレール取り付けは±0.2mm程度での誤差に抑えなければならない。
また、取手についても近所のホームセンターを何軒もハシゴしたがイメージしたものが見つからず、ネットでもさんざん探したが結局見つからなかった。これも手作業で製作となった。


冷蔵庫本体で使用するラジアタパイン集成材の板取図

冷蔵庫本体の背面板や引き出しの底板で利用するシナベニヤ板の板取図

 今ままでトリマーには興味があっていつかは自分も利用したいと思っていたが、トリマー、電動ノコギリ、ジグソーなどのいかにも騒音が激しい電動工具については導入をためらってきた。ベランダでの作業となるため、どうしても近所迷惑、騒音問題が気になっていた。そんな中、とあるサイトで比較的騒音の小さいトリマーの記事を発見した。BOSCH製なのだが、日本国内では未発売モデルのため、アメリカの通販サイトから購入する必要がある。ここはいっそのことトリマーにチャレンジしようと思い、記事に紹介のあった通販サイトCOASTAL TOOLからBOSCH製トリマー”PR20EVSK”を購入した。トリマー本体は99ドル、送料が92ドルで合計191ドルだった。Webからのオーダー時に郵便番号の入力漏れがあり、一度メールでのやりとりがあっただけで商品も問題なく1週間後ぐらいには届いた。後ほど製作工程でこのトリマーについても記載したい。
 木材は製作に入る前に240番のサンドペーパーで軽く(ほんとに軽く)全体を研磨してバリを取り除いた。組み立てたあとでは特に接合部分などは研磨がやりにくくなるからだ。

まずは引き出し部分の製作

最初に引き出し部分から作成に取り掛かった。冷蔵庫の外枠をはじめに製作してしまうと、スライドレール取り付け時の遊びが今回±0.2mm程度しか取れないため、引き出しがはまらないとか、逆に引き出しが小さすぎてスライドレールと側板の間に隙間ができてしまうなどの問題が発生しかねない。そこで、最初に同じ幅の引き出しを3つ製作しておき、スライドレールを引き出し両端に取り付けた後、本体の側板で挟み込んで並行度合いを確認しながら、本体外枠に溝切りする深さを現物に合わせて調整するというやり方を採用した。なので、設計上は本体側板の溝切りは左右それぞれ2mmとなっているが、現物調整の結果、実際には1.5mm程度になっている。
 順序としては、引き出しの前後、左右の板にトリマーで底板をはめ込むための溝切りを行い、前側の板と左右の板を固定し、底板をはめ込んだ後、最後に後ろ側の板を固定する。このとき、引き出しの前後の幅が平行になるように、後ろ側の板の取り付け位置を微妙に修正しながら最終的に固定する。
 この作業を引き出し3個分繰り返すわけだが、すべてが手作業のためこれが非常に難しい。スライドレール取り付け時の遊びがほとんど許されないため、3個の引き出しの幅が同じにならないと、正面から見たときに冷蔵庫全体が極端な話、「ハ」の字のように上下どちらかが開いたりする。まず1個目を前後が並行を保てるように製作し、それに合わせながら残りの2つを製作することで、なんとか完了した。スライドレールの取り付けまで済ませる。

引き出しの前後の幅が同じになるように精度を確保しないと、スライドレールがスムーズに動かない。写真は、フロント側がわずかに狭くなっていたため、広げる形で固定している様子。
1つ目に製作した引き出しと同じ幅になるように、2つ目、3つ目を作成する。現物調整になってしまい、設計図面とは0.5mm程度のズレが生じている。ただ、引き出しの前後の幅を3つとも同じにできるため、組み込んだ後のスライドレールの動きが非常に良くなる。

冷蔵庫本体の側板の加工

 冷蔵庫の側板を上中下の3枚の横板で固定することになるが、この固定する横板を取り付けるための溝切りをトリマーで行う。この溝切りの深さは設計上、左右それぞれ2mmとなるのだが、引き出し製作の工程ですでに設計から0.5mm程度ずれてしまい、引き出しの幅が少し大きくなってしまった。このズレを吸収するために、側板を1枚床に寝かせて、その上にスライドレール取付済の引き出しを3つ配置し、その上に反対側の側板を置くことで、どの程度溝切りの深さを確保すればよいかを現物確認を行う。その結果、左右を2mmと1.5mm程度の溝切りにすることで冷蔵庫本体側板の並行度合いが保てることがわかったため、トリマービットの切り込み深さを調整して側板の溝切り加工を行なっている。
 上側部分は背板を取り付けるため、接合前に背板取り付け用の溝切り加工も行う。上下間違うことがないように寸法チェックを2度、3度と行ってからトリマーでの加工を行った。

トリマーを使って本体左右の側板と横板3枚を接合するための溝を掘る。写真は一番下側に位置する横板を固定する部分を加工したもの。トリマーのストレートビットが6mmのため、14mm厚の板がハマるように、3回(ライン)ほどトリマーを動かした。
本体の上側部分に背面板(シナベニヤ板)を取り付けるための溝を加工する。

  このトリマー、某サイトの情報(加工時の音が収録されている)では確かに他の製品よりも音は小さかった。でも、実際に使ってみるとそれなりに音はうるさい。5段階の回転数調整機能がついているのだが、最小回転数から少し回転数を上げると、音も更にうるさくなる。トリマーなのでこんなものなのかもしれないが、ベランダでこの騒音には耐えられない様な気がしている。

正面の左右をR加工

柔らかい雰囲気を出すために、正面の左右側をコロ付ボーズ面ビットを使ってラウンド加工を行った。これもトリマーならではのなせる技で、加工した後の仕上がりを見ると、「トリマーってすごいなー」と少し感動してしまった。利用したビットはARDEN製のBZ-10Gで、R=約6mm。トリマービットは1つ3000円程度とかなり高価なのが痛いところだ。

フロントの左右両端をR加工する。もちろん、反対側もこれと同じように角が”丸く”なっている。
引き出し部分も同じように”丸く”加工する。

上側の扉にスライド蝶番取付の加工

 扉はスライド蝶番を利用した。開閉の時にチャック機能により扉が固定されること、また家具らしい雰囲気にすることができる。サイズはカップ径が35mmのものと26mmのものが2つあったが、扉のサイズもあまり大きくないことから26mmカップ径のスライド蝶番を利用することにした。
 久しぶりにスライド蝶番を利用したが、位置合わせがなかなか難しい。全かぶせタイプを利用したのだが、側板の厚みが14mmしかないため、そのままとりつけてしまうと、カップ部分が扉からはみ出してしまう。そこで、4mm厚のベニヤ板(廃材)を用いて少し側板に厚みを持たせるような構造にしてからスライド蝶番取り付けの現物合わせを行う。ずっと前に製作したベンチ収納で使った手法だ。

カップがぴったり収まるように、少しづつ26mm径の穴をあけていく。深く掘り過ぎて誤って貫通しないように、途中で何度もカップをはめ込んで深さを確認する。
最終的にはこのように収まる。扉を取り付ける冷蔵庫本体の側板の厚み14mm+ゲタ部分4mmを考慮してこの位置でのカップ穴加工・取り付けとなる。

ウレタンニスでの塗装仕上げ

 木目のナチュラルな雰囲気をそのまま活かすために、水性ウレタンニスでの仕上げ塗装とした。冷蔵庫本体部分と扉・引き出しのフロント側は3度塗りを行い、240番のサンドペーパーでザラツキ感が取れるぐらい軽く(本当に軽く)磨く。それ以外の部分(引き出しの側板や底板)は、一度塗のみでその後同様にほんとに軽く磨いただけにした。なお、スライドレールを固定する部分にあたる冷蔵庫本体の下側の内側部分にはウレタンニスを塗っていない。というのも、この部分にニスを塗ってしまうと、スライドレールの位置決めを行うときにスライドレールがくっついてしまい、微妙な位置取りを行うための滑りが悪くなってしまうからだ。
 仕上げ塗装はしなくてもいいの?という声もありそうだが、3度塗りを行って入れば、240番のサンドペーパーの研磨を軽く行う程度で本当にサラサラの表面を形成できる。さらにツルツルの光沢感を出したいときは、さらに上塗りを行うと良い。

取手の製作

 設計過程において、外付けの取手にするか、引き出しの前面に切り欠きを作って取手を取り付けなくても良いような構造にするか随分悩んだ。しかし、写真のように冷蔵庫の雰囲気を出すためにも取っ手を付ける構造とした。(先日、家電量販店に行ったときに気づいたのだが、最近の冷蔵庫はこのように”取手”がついていますというようなデザインのものは少なくなっていた。)
 ホームセンターを何件もはしごして取手を探しまわったが、サイズ、カラーともにイメージしたものがなかなか見つからない。ネットでもさんざん探してみたものの、思い描いているものが見つからなかった。そこで、同じ素材のラジアタパイン材の廃材を利用して取っ手を作ることとした。
 出来上がった取っ手を見ていただければわかるように、糸鋸があれば簡単に加工が出来る形状なのだが、糸鋸を持ち合わせていないため、6mmのストレートビット使ってトリマーで極太の糸鋸のように加工を行った。一度に14mm厚の板を刳り抜くことはなかなか厳しいため、3度ぐらい同じ部分をカットすることでこの形状を作り出している。形が仕上がったら、ボーズ面ビットを利用して角に丸みをつける加工を行った。最後に半分に鋸でカットすることで、1枚の廃材から2つ分の取っ手が作られる。数量としては合計6個製作されることになり、1つは予備として確保できるはずなのだが、加工途中に失敗などもあり結局予備は無し、合計5個の取っ手を製作した。
 仕上げ塗装としてブラウンの艶出し透明ニスを重ね塗りしたのだが、微妙なニスの塗りムラが生じてしまい、乾いたときにさらに目立つようになり、重ね塗りすればするほど目立ってしまうという悪循環。サンドペーパーでニスが厚く固まった部分を磨くのだが、その部分はいくら磨いても塗料の厚みが残ってしまう。逆に削り過ぎるところが出てしまって、木肌がみえてしまう。想定していたような艶出し仕上げにならないため、この塗りムラを逆手にとって、アンティーク風な仕上げにした。よくみると塗りムラがわかるのだが、パッと見た感じ趣きのある取っ手には仕上がったかなと、自分に言い聞かせて妥協する。

長方形の板の真ん中部分を刳り抜く。糸鋸があると非常に楽に簡単に加工できるのだが、そのような便利な道具は所有していないため、トリマーにストレートビットを取り付けてじわりじわりと切っていく。
ストレートビットを巨大な糸鋸替わりにして刳り抜いた後。このあと、中心にうっすらと残っている線に沿って鋸で切断すれば取手が2個できあがる。
トリマーが利用出来る部分はコロ付きボーズ面ビットを使って角をR加工する。トリマーが利用できない部分は100板程度の粗いサンドペーパーを使って角を丸めている。
焦げ茶色の着色ニスを塗って取手が完成。なんど重ね塗りを行っても塗りむらが解消出来なかった。というより、一度塗り斑が発生してしまうと、リカバリができない。特に角の部分はニスが厚めに残りやすい。着色ニスの塗装は難しい。

真鍮ダボの取り付け

 冷蔵庫上段には高さ位置の調整が可能な棚板を2枚準備している。棚板の固定には真鍮ダボを利用した。物を出し入れするときに棚板がずれないように、側面のダボと重なる部分に半円状の固定溝を掘っている。これは棚板を2枚貼りあわせて、その中心部分を木工用ドリルで6mm程度の深さの穴を開ける。この加工で棚板がダボとがっちり重なりあって、棚板がずれることを防ぐことができる。

深く掘りすぎないように割り箸で深さを確認しながら作業を進める。6mm程度の深さが調度良い。この後、ダボ受け(メス)の方をこの穴に打ち込む。
ダボに棚板を載せたときに前後に動かないように固定するための溝を掘る。写真のように2枚の棚板をがっちり固定して、中心部をドリルで穴を開けた。もちろん、穴は深くなりすぎないように、ダボの長さぐらいの深さとする。

スライドレールを冷蔵庫本体側に取り付ける

 引き出し正面の上下間の隙間は設計上2mmとしているが、なにぶん大した道具もない手作業での工程で製作してきているため、設計通りきっちり2mmの空間にはならない。いつものように冷蔵庫に引き出しをはめてみて、現物調整しながら取り付け位置を最終決定する。冷蔵庫を立てた状態だと引き出しが下にズレ落ちそうになるため、冷蔵庫を横にして位置取りを行う。一番下と一番上の引き出しの取り付け位置をマーキングした後、最後に真ん中の引き出しの上下の隙間が同じぐらいになるように調整する。後から気づいたのだが、スライドレールのネジ穴は上下の位置が真ん中になるように製品図面には記載されている。このスライドレールネジ穴図面を活かした設計にしておけば、引き出し側、冷蔵庫本体側も位置取りが楽にできたのにと少し後悔した。
 続けて、冷蔵庫上段側の両開きになる扉を取り付ける。スライド蝶番はある程度の前後、左右の調整のための遊びがあるのだが、久しぶりにスライド蝶番を利用したこともあって、購入したままの状態で取り付け調整を始めてしまった。そのため、調整の余地が非常に少なくなってしまい扉を閉めた時の位置取りに苦労してした。冷蔵庫本体の板の厚みが14mmしかないため、4mmのシナベニヤ廃材を利用してゲタを履かせている。こうすることで、木ネジが飛び出すのも防げるし、全かぶせタイプのため、扉側に開ける26mm径カップの端っこに余裕を持たせられるようになる。

意外と苦労したのがこの引き出しのスライドレールを冷蔵庫本体に取り付ける工程だ。写真のように引き出しの隙間は現物調整の結果、ほぼ2mmを確保しており、1段目、2段目、3段目のそれぞれの隙間が均等になるように取り付けている。作業は冷蔵庫本体を横向きにしてフロント側で見た目の隙間を調整しながらレール取り付け位置をマーキングして固定していった。
スライド蝶番の全かぶせに14mmの板は少し薄すぎるため、4mm厚のシナベニヤ材を間に挟んでいる。こうすることで扉を閉じたときの両側面が綺麗にそろう。

取手の取り付け

 最後に扉と引き出しに取っ手を取り付けて完成となる。取り付け時に手で固定しているだけではネジが回る方向へ取手がずれてしまうため、余っている廃材をあて木にしてクランプで固定してからネジを打ち込んでいる。万が一、取っ手が壊れたりした場合も想定し、内側はネジ頭がそのまま見えるようにしておいて、それ以上の加工は行っていない。ネジを外せばいつでも取っ手が取り外しできるようになっている。

クランプでしっかり取手を固定してからドリルで下穴を開けた後、コーススレッドで固定する。クランプでの固定を行わないと、ドリルで下穴を開けるときや、コーススレッドを打ち込むときにドリルの回転方向に取手が動いてしまう。
上側の扉に取手を取り付け、棚板をダボに載せてみた。棚板は5段階の高さ調整ができ、また棚板の増設も可能。

そして完成

フロント側の板は一枚板からカットしてもらっているため、木目が揃った状態で仕上がることになっていた。ただ、ホームセンターでカットを依頼するときにそこまで正確に要件を伝えていなかったため、サイズはしっかり守られているが木目の連続性を意識されることなくカットされてしまった。こちらの伝え方も不足していたため、これはこれで仕方ない。なるべく木目の違いがわからないような配置にはしたつもりだ。
 隣はIKEAで購入したままごとキッチンで約12000円。この立派なキッチンにも負けないぐらいの存在感のある冷蔵庫に仕上がったんじゃないかな。

IKEAのままごとキッチンと並べてみた。堂々とした風格!ぜんぜん負けていないぞ。
3段引きフルオープンタイプのスライドレールを利用したので、このように引き出し部分が全部引き出せるため、物の出し入れがしやすい。
上側の扉を開けたところ。スライド蝶番のおかげで、開放時にはこの位置で扉が固定される。
棚板を固定するダボやダボ穴が拡大されて分かりやすいかと思う。棚板の位置を動かすのもよし、棚板を追加するのもよしだ。もちろん、中に入っている粉チーズは空になった本物のケースを洗って子供のままごと用に転用したもの。(本物ではありません。)

製作費用は

 今回の製作費用を最後にまとめた。過去の製作時の残り板利用分や、木ネジ・ニスなどの材料、今回新たに追加購入した工具など共通的な費用(ストック品の利用分)は含んでいない。ホームセンターでお願いしたカット料金も数百円だったためリスト中には含んでいない。工賃は恒例の「プライスレス」だ。

材料用途数量価格(合計)購入方法コメント
ラジアタパイン集成材冷蔵庫の左右側面23,960ドイト350*1200*14mm
ラジアタパイン集成材冷蔵庫本体の側板と接合される横板(上面、中段、下面)11,980ドイト350*1200*14mm。この板で左右側板を結合する。3枚分
ラジアタパイン集成材冷蔵庫フロント側12,180ドイト400*1200*14mm。上段の扉と、下段の引き出し3段分のフロント側になる
ラジアタパイン集成材引き出し(1段目、2段目)11,580ドイト300*1200*14mm。引き出し部分の左右と背面になる
ラジアタパイン集成材引き出し(3段目)11,080ドイト200*1200*14mm。引き出し部分の左右と背面になる
カラー棚板冷蔵庫の上段の棚板11,080ドイト2段分、利用出来るようにカットしてもらった
シナカットベニヤ引き出しの底板11,580ホームセンター HOME’S5.5mm厚。910*910mmの板から4枚分。1枚は予備となる
シナカットベニヤ冷蔵庫上段の背面1378ホームセンター HOME’S4mm厚。910*450mmから必要分をカット
スライド蝶番上段の扉4560ホームセンター HOME’Sカップ径26mm。全かぶせ。単価140円。安い!
スライドレール引き出し3セット(1セット左右)1,710金森金物店(通販)LANPスライドレール。3段引きフルオープン。長さ350mm
真鍮ダボ棚板支え2380ドイト冷蔵庫本体側に取り付けるメス
真鍮ダボ棚板支え1230ドイトオス
ストックからの利用
(主なもの)
・隠し釘
・木ネジ
・木工用パテ
・木工用ボンド
・水性ウレタンニス
ウレタンニス、木ネジ、サンドペーパー、ルータービット、トリマーなど、追加購入したものも多い
合計17,368意外とコストかかってしまった

 ベニヤ板は切断面に木ネジを打ち込むと、ネジの厚みによって少しベニヤ板自体が膨らんだり、合板の表面が傷んだりすることがあるため、今回は底板と背板以外は、ラジアタパイン材を利用して製作した。そのため、それなりのコストがかかってしまっている。もっと薄いパイン材だと軽量化もでき、低コストになると思わるが、スライドレールやスライド蝶番を取り付けるときにある程度の厚みが必要となることを考慮すると、14mmの厚さというのはなかなか絶妙な厚さではないかと思う。
 おもちゃやさんに売っている既製品の冷蔵庫を購入したほうが価格的には安いかもしれない。でも、こんなに大きなものを販売しているところに出会ったことはない。半分ぐらいのサイズは見たことがある。
 その後、本当に冷蔵庫のような使い方になってきて、子供も空になった牛乳パックや缶ビール、ペットボトルなど様々な”元本物”の食材を収納して遊んでいる。
 おもちゃにしてはちょっとやり過ぎたかなーと思いつつ、将来子供が「もう使わない」って言ったときは、自分用の収納ラックとして使う。その頃には、適度にキズが付いてちょっと使い込んだ感が出てきて、いい感じになっているんじゃないかな!。

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