学習机シリーズ第4弾 デスクワゴン(2013年5月)

学習机シリーズ第4弾 デスクワゴン(2013年5月)

ようやく完成

 学習机の完成から1年数ヶ月、ようやくデスクワゴンが完成した。学習机と組み合わせて利用するため、設計は学習机と同時に完了しており、しかも木材の発注も学習机の分とほぼ同時期に発注していたにもかかわらず、かれこれ2年近くかかっての完成となった。学習机シリーズはこのワゴンでひと通り完了となる。

基本構想

 基本的に学習机とセットで利用するため、下記のような要件(実現したいこと)を盛り込んだ。

  • ワゴンの天板の高さは学習机の天板の高さに合わせられるように可動式にする。
  • 学習机と並べた時に奥行きがなるべく一致するようにしつつ、机下に入れた時にも机前面から飛び出さないように、最大限の奥行を確保する。
  • 引出しは奥の物が取り出しやすいようにフルオープン式にする。
  • 一番下の大きな引出しはA4のファイルケースが入る幅と高さを確保する。
  • キャスターを取り付けるが、外からキャスターが丸見えにならないようにデザインを工夫する。

 その他細かい考慮事項があるのだが、設計しながら数値を確定していった。

詳細設計

 設計する上で意外に苦労したのが、学習机とデスクワゴンの天板の高さを一致させるという構造である。キャスターを使わないのであれば、単純に木材の寸法だけを確定していけばいいのだが、利用するキャスターの高さや取り付け方法によって1-2mm程度高さが異なってくる。高さを一致させるためにはキャスターの選択と取り付け方法も同時に決定しながら設計を進めなければいけない。

 キャスターはプレート式とボルト式とで選択を迷ったが、ボルト式+鬼目ナットでの取り付け方法とした。強度的に心配したが、実際に取り付けてみても問題なかった。数字が細かくてほとんど設計図としては流用出来ないと思うが、微調整しながら設計を行なっている雰囲気を感じ取ってもらえればと思う。(詳細設計図はクリックで拡大表示されます)

詳細設計図

 天板の高さを可動式にするための部品として「天板昇降金具」があるのだが(市販されている学習机に使われているヤツ)、この部材がネットを探しても見当たらない。アトムリビンテックから販売されているはずなのだが、そのアトムの通販サイトを見ても見当たらないのだ。仕方がないので、上図のような構成にすることで天板の昇降(高さ調節)を可能としている。

 残念なことにこの話には続きがあって、このデスクワゴンを製作する途中で、別の製作物の関係でアトムリビングテックの通販サイトを見ていたら、天板昇降金具が販売されているではないか(高さ調節範囲は140mm程度)。もっと早く見つかっていればこれが使えたのにと思ったが、そもそも今回のデスクワゴン自体が天板の高さの調節範囲として200mmも確保しなければいけない構成のため、結局この昇降金具は採用出来なかったことになる。結果オーライだったのかもと自分に言い聞かせる。

材料を調達する

 今回も木材はマルトクショップのネット通販で購入した。天板と引出しのフロント側はタモの無垢材、その他はタモの集成材を利用した。ワゴンのボックス部分の天板のサイズ調整の関係で、フロント部分にウォールナットを使って奥行きを拡張している。上手く説明できないので、詳しくは製作途中の写真を見ながら説明したい。引出しの箱部分は、近所のホームセンターでラジアタパイン材を購入、底板部分は同じホームセンターでMDFボードを購入した。

側板の加工

 今回の製作は、大まかにはワゴンの枠の部分(本体)、引出し、天板部分の順序で行った。まずはワゴン部分の側板から。

側板は天板を昇降させるための板が可動できるように、アルファベットの”E”のような形にしなければいけない。一枚の板ではこの構成にできないため(無駄が多くなるため)、このような3つの板をダボ+木工用ボンド(タイトボンド3)を使って接合する。
接合するときに板面に段差が生じないよう当て板で抑えながら、また可動部分がスムーズに動くような隙間(1mm以下)を確認しながらクランプで固定する。クランプのトルクの掛け具合は、上の写真では手前側はきつく固定、奥の方は寸法を合わせる程度でゆるめに締め付けている。
接合後の状態。このようにアルファベットの”E”の形をした側板が2つ完成。
側板に底板を取り付けるための溝をルーターテーブルを使って加工する。「大入れ接ぎ」の深さを浅くした感じだ。幅は底板に合わせて20mm、深さは約2.5mmである。

ちょっとしたアクシデント

 次の加工に進む前にどうしても解決しなければいけない問題が2つあった。一つは集成材とはいえ板の反りが激しいこと。もう一つは、ワゴン本体の天板、底板として利用する板の幅が手前と奥側で1-2mm程度異なることだ。

天板、底板ともに面積の広い板は集成材にも関わらずかなり反っていた。学習机の時の集成材も反っているものがあったが、今回はあの時よりも激しかった。少し水分を多めに含んだ雑巾で凸面側を拭いた後、その面をファンヒーターに向けて数時間乾燥させると、ほぼ反りが解消する。しかし、時間が経つとまた少し反りが戻ってしまうという状況。完璧に解消出来なかったがある程度のところで妥協する。
これはワゴンの底板部分だが、写真の手前側と奥側で幅が1-2mm程度異なっていた。すなわち平行にカットされていない。いくら素人の手作り家具といえど、せめて1mm以内ぐらいの誤差にならないと組み立て時に隙間が発生したり歪んだりしてしまう。幸い、注文寸法よりも広めでの誤差だったため、トリマーで削ることで誤差を解消した。前回の発注時もサイズが2mmほど短いものがあったため、カットする担当者によって精度のばらつきが大きそうだ。

天板と底板の加工

 天板にはちょっとだけ小細工を仕掛けてある。ワゴンは上から見た時に、引出しの前板が隠れる(上から見た時だけインセット)ような構造にしている。しかし横から見ると引出しの前板がすべて見える構造(全かぶせ)になっているため、天板のフロント部分の幅が左右20mmずつ足りない。そのため、天板のフロント側に同じ厚さ20mmのウォールナットを使って引出しの前板と同じ幅の部分を結合させた。ワゴン本体の天板は”T字”型になる。

ワゴン天板にウォールナットをダボ+タイトボンド3で接合する。左右20mmずつ飛び出すようなT字型の板になるのだが、この段階では20mm以上飛び出すようにしており、後ほど側板と現物合わせを行った上で、余分な長さ部分をカットする。
机の下にデスクワゴンを入れた時、ワゴン自体を引き出すときに引っ掛ける部分がないと引っ張り出せない。そのために、ワゴン部分の天板に手を引っ掛ける部分を加工した。天板の厚さが20mmなので10mm程度の深さをU溝ビットを使って加工した。15mm程度の深さがあったほうが良かったかもしれないが、手を引っ掛けた感じこれでも何とか大丈夫そうだった。

 底板部分は下側の大きな引出しを引っ張りだした時に、収納物の荷重によってワゴンが転倒しないように するために 、引出し側に転倒防止キャスターを付ける構造にしている (転倒しないまでも、傾いたり、スライドレールが壊れたりする可能性がある) 。前板にキャスターを取り付けるという方法もあるが、それだと正面からキャスターが丸見えになってかっこ悪くなる。そこで、ワゴン本体の底板を少し切り取りつつ、その切り取った部分を引出しの底部分に付けることで、転倒防止キャスターをうまく固定できるようにした。

手順は写真の通り。まずドリルで穴を開け(4mmのストレートビットが入る程度の穴で良い)、その穴めがけて鋸で直角を確保しながらカットする。次にトリマーを使って完全に切り離す。トリマーでいきなり20mmの厚さをカットすると音もすごいため、深さは4,5mm程度として、何度かトリマー加工を繰り返した。
小さい四角部分を切り離した後、トリマーで周囲(三面)を綺麗に整えることで、写真の様にそれぞれ約4mmの隙間を確保して引出し底面へのキャスター取り付け部分を製作した。この切り出した板は捨てずに、引出しの底面に取り付け、更にキャスターも取り付ける。

ワゴンの仮組み

 ひと通り加工出来たのでワゴン部分を仮組みし、寸法等確認を行なってみた。仮組みなので、ただ板を重ねて置いただけの状態である。

フロントから見たところ。天板のウォールナットが良い感じのアクセントになっている。
側板が完全な一枚板ではないため、強度的に少し不安があった。そのため、背面側で少しでも強度を確保出来ればと、背面側に厚さ20mmの集成材を固定することにした。完成後に思ったのだが、ここまでガッチリやらなくても強度は確保出来たかなと思っている。

側板、ワゴン本体の天板などのネジ穴加工

 ワゴンの本体部分を組み立てる前に、鬼目ナットを埋め込むためのネジ穴や、天板に取り付ける支柱部分などの加工を行っておく。

天板に取り付けられて昇降機能を実現するための板となる部分。それぞれの穴は学習机の天板の高さに一致する位置に開けられている。
天板や背板など、鬼目ナットを埋め込む部分の穴を加工する。

引出しの前板を加工する

 できるだけまとまった数量で塗装を行いたいため、引出しの前板まで加工を完了させておく。

デスクワゴン自体のフロント部分は取手などの突起物をなくしてフラットな面を作り出したいため、前板部分に取っ手の機能を埋め込んでいる。上側の前板は下面に、下側の前板は上面に取手となる溝を彫り込んでいる。前板の厚さは20mmなので、10mmのU溝ビットを使って溝を彫り込む。
次に前板の前面になる部分を少し削ることで、手を入れる部分のスペースを作る。板の厚さが20mmなのでもしかしたら薄くした部分の板が欠けたりする恐れがあったが、今のところ問題なく利用できている。最終的な構成は後ほど。

組み立てる前に塗装

 すべての部品の加工が終わったわけではないが、ワゴンの本体部分を組み立ててしまうと、塗料を塗りにくい部分等が発生するため、組み立てる前に塗料を塗っておく。デスクやラックと同様にオスモカラーのノーマルクリアを利用する。

塗料については学習机シリーズと同じ、オスモカラー・ノーマルクリアを利用した。塗り立て時は少々匂いが強いが、化学系の塗料ではないため人体にも影響はなく、風通しを良くしておくことで安心して塗装作業を行うことができる。完全に乾いていなくても3、4時間後にウエス(使い古しのチノパンなど厚手の生地が最適)で拭き取ることでムラも残りにくく、毛羽立ちなども綺麗に取り除くことができる。

鬼目ナットを埋め込む

 オスモカラー塗装後、ウエスで綺麗に磨いた後に鬼目ナットを埋め込む。

デスクワゴンの底板部分。キャスター(ボルト式)を取り付けるために、Jタイプという鬼目ナットを利用した。ボルト式キャスターを取り付けた場合、ワゴン本体や収納物の荷重によってキャスター取り付け部分がグニャッと曲がってしまうのではという懸念があったが、完成後も問題ないことを確認している。
その他必要な部分にも鬼目ナットを埋め込む。

ワゴン本体の組み立て

 ワゴン本体の組立に必要な作業が完了したので、組み立てを行う(本体部分のみ)。

ワゴン本体の背面部分はジョイントコネクターでの固定にしているため、まずこの部分を固定する。ジョイントコネクターが外側から見えてしまっており、コネクターの数量も多い。次回の製作時にはこのような金具ができるだけ見えないような構造にしたい。
その後、側板を木ネジで固定する。側板とワゴン本体の天板の上面が一致するようにクランプで位置合わせ/固定しながら木ネジをねじ込む。その後、丸棒を使って表面を整える。
ワゴン本体部分の組立後。側板部分の空きスペースに天板昇降機能を実現する板が収まる。
天板を上方に上げた時に、側板に空洞が出来てしまうため、側板内側に厚さ4mmのMDF板を取り付ける。強度的に心配なところがあったため当初の設計では5.5mmのMDFを利用する予定だったが、ワゴン本体組立後の状態が思った以上にしっかりしていたため、4mmのMDFに設計変更している。

引出しの加工

 引出しはあられ組み構造とした。あられ組といっても段数はかなり少ない。

まず初めにボール盤で大雑把に加工を行う。
次にルーターテーブルで整える。はじめからルーターで加工という方法もあるが、削る量が多すぎるとルーター加工時の騒音がひどい。できるだけルータービットが削る部分が少なくなるよう配慮したやり方。

 上側の引き出しには鍵を付ける。利用したのはLANMPのシリンダー錠・ミリオンロックシリーズの一つで、No.2200-24という型番のものだ。シリンダー錠が引出し内側にはみ出した形で製作されているデスクワゴンの市販品もある。実際に加工もそのほうが楽なのだが、出っ張り部分があることで使い勝手も悪くなるし、デザイン上も格好悪いので頑張って埋込み式にした。

シリンダー錠のシリンダー部分が直径22mmなので、22mmのフォスナービットを使って所定の位置に穴を貫通させる。次に、シリンダー錠をはめ込んでみて、周囲をシャープペンシルでマーキングを行い、その後ボール盤で一定の深さで加工する。今回は10mmの深さとなる。最後にノミで綺麗に揃える。ポツポツと見える穴はシリンダー錠を取り付けると見えなくなるので気にすることはない。
引出しの枠部分が完成。なお、前板/向板部分は実際にワゴン本体に引出し側板とスライドレールを取り付けてみて、現物合わせで 引出しの幅(長さ)を確認し最終加工を行なっている。
仮組みしてみるとこんな感じに。下側の大きな引出しは、最後に取り付ける前板の取っ手部分が欠けたり、前板自体が反ったりするのを防ぐために、前板取り付け時の木ネジを上下方向の幅広い場所に取り付けられるように、フロント側だけ高くしている。
木ネジでスライドレールと取り付けでも良かったかもしれないが、特に下側の引出しで荷重がかかった時に側板がスライドレールと固定された状態を安定して維持できるか心配もあったため、引出しとスライドレールはM4のボルト/ナットでの固定とした。内側にボルト取り付けの穴がちょっと目立ってしまうけど、ボルト部分が飛び出さないような加工にしている。

スライドレールの取り付け

 引出しの前板/向板の加工の時から始まっているのだが、ここからは「現物合わせ」での神経戦が始まる。スライドレールはフルオープンタイプとなるがネットでいろいろと探してナカノの三段引きスライドレール 36mm幅 底付けタイプ NK360A-500を採用した。長さ500mmという一番長いタイプのものだ。

天板内側から40mm、底板上面から40mmの位置にそれぞれスライドレールの中心線部分が来るように、スライドレールを取り付ける。取り付けはM3.5/20mmの木ネジを利用した。レール取り付け穴はM4まで対応しているので、この0.5mm分の余裕を持つことでスライドレール位置を微妙に修正ができる。ほんと、「微妙に」だけど。
取り付け後はこんな感じになる。引出しを引っ張りだした時に、内側にMDF板が見えるようになる。スライドレールは規格上12.6mmの厚さなのだが、抑える力(締め付け具合)によって12.6mmという寸法が異なってくる。そのため、引出しの幅はどうしても現物合わせで最終的な寸法合わせを行わなければならない。

引出しの取り付け

 スライドレール取り付け後に、引出しをインナーレールと完全に固定する。設計上は引出しの上面/下面のクリアランスは2mmとしているため、2mmの厚さの30cm定規を挟みながら現物調整を行った。

まずはフロント側で位置合わせを行う。上段、下段それぞれの引出しのクライアランスを収納状態で確認する。
仮位置合わせしたフロント側がずれないように、そっと引き出しを引き出して後ろ側の位置合わせも行う。そして最後にM4のナットをきつく締めて引出しとインナーレールの固定が終了する。なお、この時点ではまだ底板ははめ込んでいない。もちろん、引出しの向板(背板)も取り付けていない。

引出し前板、シリンダー錠の取り付け

 引出しの位置合わせ(正確には引出しの側板のいち合わせ)が完了したので、前板の位置合わせと固定を行う。先ほど、底板や向板を固定していないと記載したが、底板、向板を固定してしまっていると、底板をスライドさせることが出来ないため、前板固定時のクランピング作業がやりづらくなる。上側からならクランプで固定できるのだが、そうすると引出しが完全に収納できないため、天板や上下の引出しとのクリアランス調整が難しくなってしまう。写真を見ると、この理由がわかっていただけるかと思う。

天板と引出しのクリアランスは2mmの設計。これは製作時に厚さ2mmの定規を挟んで位置調整を行えば、平行度も確保できるし作業もしやすいのではということを考慮している。前板を固定した状態で、この挟み込んだ定規が左右にある程度スムーズに動くくらいのきつさにしている。
先ほどの状態のまま、22mmのフォスナービットでシリンダー錠のセンター位置のマーキングを行う。前板にフォスナービットの先端で軽くキズを付けるイメージだ。その後、前板を取り外し、ボール盤で貫通させ、再び同じ手順で前板を固定する。そしてシリンダー錠をはめ込む。このように引き出し内側にシリンダー錠が飛び出すこともなくツライチ(面一)で綺麗になる。
下側の大きな引出しの前板も同様の方法で調整を行う。もちろん、左右両サイドがワゴン本体とも綺麗にツライチになっていることも確認しながらの作業となる。まだ、引出しの向板を固定していないため、底板をスライドさせることでこのようにクランプでの固定ができ、作業性が向上する。
前板の取り付けが完了。前板は引出しの内側から貫通しない範囲で最大の長さの木ネジで固定している。写真のように手を引っ掛ける部分を前板に堀り込んでいるので、フロントに取手のような部分がなくなってスッキリとしたデザインになっている。

その他の加工

 ワゴン本体関連でその他残っている部分の加工を行う。シリンダー錠の受座の取り付けと、転倒防止用キャスター取り付け部分の加工を行う。

シリンダー錠の受座(ステンレス製の板)を取り付ける作業も現物合わせで実施する。これが意外と手間がかかり、何度も鍵をかけてみてスムーズに動く場所を確認しながら位置合わせを行った。シリンダーから飛び出す部分(デッドボルト)が天板に入ることで引出しがロックされるのだが、その部分はトリマーで5mmほどの穴を加工している。受座も天板からはみ出さないようにノミで1mmほど削りこんでから取り付けている。
下側の引出しは大容量対応のため、引き出した状態でも傾いたりレールを傷めたりしないよう、引出し自体を支えるキャスターを取り付ける。引出し底板とワゴン本体の底板との間にもスペースがあるため、そのスペース分の厚さをカバーするための板を挟み込んで固定する必要がある。厚さ5.5mmのMDF板を挟むことで、そのスペースをほぼカバーできた。

天板の加工

 天板は昇降式にしているため、天板を支えるとともに、反りを防ぐ桟(貫?)を加工し、脚部分に取り付ける。天板と桟の固定は鬼目ナット+ジョイントコネクター式として、天板の収縮に対応できるようにした。

昇降式天板の脚部とは”半分だけ”相欠きのような結合方法としている。桟はボール盤/フォスナービットを利用して一定の深さで穴を掘り続ける。ルーターを使っても加工できるが、何しろルーターは加工音がうるさいため近所迷惑にならないかといつも心配(ルーター自体の動作音は気にならないが)。その点、ボール盤は電動工具としては加工音も比較的、静かなのでこのような加工も気にせずに取り組める。
ボール盤で大まかに加工したら、残った突起や角の部分をノミで綺麗にさらう。フォスナービットの中心部分の跡が残るが、天板の脚部と接合すると見えなくなる部分なので気にしなくてよい。
ボール盤+フォスナービットでの加工だが横から見てもこのようにある程度綺麗に加工出来ていることがわかる。ジョイントコネクター取り付け用の穴も加工する。
ワゴンに天板脚部を取り付けた状態にして仮組みしてみた。この後、桟にもオスモカラーを塗装し、天板に埋め込んだ鬼目ナットとジョイントコネクターで固定する。
天板と桟にオスモカラーを塗装した後、天板には長さ16mmの鬼目ナットをねじ込む。その後、天板と桟をジョイントコネクターで固定する。ジョイントコネクターは6mm径のものを利用しているが、天板の伸縮に耐えられるように(天板が割れないように)少し大きめの7mmドリルを利用して桟に穴を開けている。
ワゴン本体に固定していた脚部と天板部分を固定する。天板自体に木ネジを使ったりせずに、桟を脚部に固定するだけの方法としている。それぞれの脚部に対して2ヶ所、木ネジで固定する。コクタンの丸棒を使ってネジ頭部が見えないようにしている。

完成披露!

 ようやく完成。一番最初に作業記録として残している写真の日付が3月2日で引出しの仕切板まで完成したのが5月27日。なので、まるまる3ヶ月かかっての作業となった。

斜め前方からのショット。天板は一番下に下げた状態になっている。引出しは小と大の2段構成。横のジョイントコネクターを外して高さを変更すると・・・・。
ワゴンの天板はこのように高さ調整ができる。合計6段の高さ調整で、それぞれの高さで学習机の高さと一致するようになっている。学習机とワゴンを並べて設置すれば広大なデスクトップスペースが実現できる。まぁ、子供がそのような使い方を望むかはわからないが。また、ワゴン天板下にも空間ができるので、箱物等を収納することもできる。
学習机下に入れてみた。学習机下には問題なく入れることができるのだが、ちょっと誤算だったのが、机の右側の引出しが構造上、引っ張り出しにくくなってしまった。今は右側にある僅かな空間から指を入れて引出しを引っ張りだしてもらっている。1段机の高さを上げればこの問題も解消できるので、暫くの間、我慢してもらうしかない。正面から見た時に矢印の部分が綺麗に揃うように引出しの幅を設計している。
引出しは上下ともフルオープン。長さ500mmのスライドレールを利用。フルオープンなので奥の物も出し入れがしやすい。下側の引出し底面にもキャスターが取り付けられているので、このようにフルオープン状態になってもワゴンが傾くようなことがない。
引出し内部には仕切を設けた。仕切り板自体はすべて同じサイズで、位置を変更することで自由にスペースを分けることができる。写真のように、シリンダー錠が内部に飛び出さないように頑張って加工したので、見た目もスッキリだし、内部も有効に利用できる。なお、引出しの深さは62mm程度。
下側の引出しにも同様に仕切り板を設置。こちらはA4のファイルが入るサイズ。100均などで販売されているボックスタイプのファイリングケースも問題なく収納できた。

 あまり片付いていないというか、ごちゃごちゃしてしまっているが、最後に学習机シリーズの全景を載せてみた。椅子だけは既成品で、浜本工芸の高さ調節椅子を購入している。

  1. 学習机
  2. ブックスタンド(机上に乗せているだけ)
  3. デスクワゴン(今回の製作物)
  4. 多機能ラック(上下伸縮できる)

 ランドセルを収納している多機能ラックは幅を学習机の奥行きと同じ650mmにしているので、この先レイアウト変更などで机の横に設置した場合でも一体感が得られるような使い方ができる。

製作費用

 最後に恒例の制作費用のまとめ。木ネジ・丸棒などストックから利用したものや塗料・サンドペーパーなど追加で購入した消耗品・金具などは含まない。デスク製作時にカウントしていたジョイントコネクターも今回は合計金額に含めなかった。デスクワゴン製作前にルーター、ルーターテーブルも購入しているが、そのような工具の費用も含んでいない。「事業」としてみれば、こういう物件費も勘案して本当の「値段」を算出しなければいけないのだが、ま、趣味の世界なので。

デスクワゴンの製作費用
材料 用途 数量 価格(合計) 購入方法 コメント
タモ無垢板 天板 1 4,550 マルトクショップ ワゴンの最上段で上下移動する部分
タモ無垢板 引出し前板 2 2,620 マルトクショップ 引出し上側、下側の合計
タモ集成材 ワゴン本体天板、底板 2 4,230 マルトクショップ 天板と底板の合計
タモ集成材 側板 6 3,420 マルトクショップ 側板の前/中/後の左右合計
タモ集成材 側板 1 320 マルトクショップ 側板を結合する50mm幅の部分。長さ91mm程度にカットする。4個利用。
タモ集成材 背板 1 1,520 マルトクショップ ワゴン本体の背板
タモ集成材 天板の脚部 4 1,280 マルトクショップ 昇降天板を実現するための脚部
タモ無垢材 天板の桟 2 880 マルトクショップ 桟なのか貫なのか・・・
ウォールナット無垢板 ワゴン本体の天板フロント側 1 320 マルトクショップ 正面から見て黒く見える部分
3段引スライドレール 引出し 2セット 3,920 ナカノ(通販) 36ミリ幅 NK360Aシリーズ 底付タイプ 500mm
双輪キャスター 3 1,218 MonotaRO(通販) 東信製作所 双輪キャスター Uタイプ(ボルト取付) U40-B M8×P1.25
双輪キャスター(ストッパー付き) 3 1,548 MonotaRO(通販) 東信製作所 双輪キャスター ボルトタイプ ストッパー付 (Uタイプ) US40-B M8×P1.25 1個
シリンダー錠 引出し上段 1 2,169 MonotaRO(通販) スガツネ(LAMP) 面付シリンダー表示錠 2200型 2200-24-B
ラジアタパイン集成材 引出し 1セット 2,778 ドイト 上段、下段の合計
MDFボード 引出し底板 1セット 756 ドイト 上段(4mm)、下段(5.5mm)の合計
MDFボード 引出し内部の仕切り板 1セット 余っていたMDFボードを流用
合計 31,529

 もっとも費用がかかりそうな部材=タモ無垢材/集成材を中心にコスト計算を行った上で、最終的な発注を行なっていたはずなのだが、すべての部材を合計すると、こんなにもかかっているとは想定外というべきか・・・。それでも無垢材を利用した市販のデスクワゴンよりは安価に仕上がっているとは思うのだが。

 今回のはタモ無垢材、集成材を多数利用した贅沢な構成になっており、デスクワゴン本体の重量もそれなりになっているので、次回製作時にはコスト削減と軽量化を少しでも実現できるような設計にしたいと考えている。

 デスクワゴンの完成後、小学1年の長女は鍵が付いていることが相当に嬉しいようで、貴重な収納物や秘密の物が無いにもかかわらずいつも鍵をかけて楽しんでいる。でも、その鍵は机上に置きっぱなしになっているんだけどね。

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